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目指せITCe!中川斉史が教える2級合格のコツ講座


注意:著作権は講師(発言者)に帰属します。

座談会「ITCeとは? どういう仕事をしているの?」
聞き手:堀田龍也(静岡大学情報学部・助教授)

レポート「ITCeの仕事ぶり−中川事例の報告」
レポーター:正來洋(金沢大学教育学部・内地留学生)

講義「ITCe2級で期待される能力および傾向と対策」
講師:中川斉史(三好郡教育ネットワークセンター)

演習「2級2次試験模擬課題をやってみよう」
講師:中川斉史(三好郡教育ネットワークセンター)

ディスカッション「私たちの周りに足りないものは?」
リード役:中村武弘(三重県教育委員会教育サービス部)


座談会「ITCeとは? どういう仕事をしているの?」
聞き手:堀田龍也(静岡大学情報学部・助教授)

堀田
中川先生の本籍は池田小学校。郡内の全ての幼小中高校を見てる,ネットワークセンターでも勤務。詳しくは座談会,日本では教育の情報化推進でいちばん有名な方をお招きした。

大まかに,中川先生の一日の仕事を聞いてみたい
ポイントはいくつかあって,学校で勤務していること,センターでも仕事をしていること,他の学校も見に行ってる,これがメイン。ほかにも業者の対応等々あると思う。このへんを聞いてみたい。

中川
基本的には私の仕事は羅列すると,スライドのようになっている。
センターでは文科省指定も入っているのでそちらの作業もあるが,気にするほどではない。むしろ郡内から出てきた要求や問題をどのくらい解決できるかということ。

堀田
郡内には何校くらいの学校がありますか。

中川
60校くらい。

堀田
一番遠いところはどこですか。

中川
車で2時間くらいかかりますね。普通なら大阪まで出れる時間です。
そういうところは足が遠のくので,どうするかというと,いかに口で伝えるか,いかに,そこにいる人を育てるか,が重要。

堀田
授業支援と言うのは,現場でおこなわれてる実践のことですか。

中川
例えば,テレビ会議のコーディネートはよく入っている。先生方は,TV会議をしよう,というところまでは行くが,人手がたりないという不安,心配があるので,そこを受け止める。

堀田
ちなみに遠隔地中継車と言うのは。

中川
これは,酪農家とTV会議するために,TV会議のセットを一式持って行っているわけです。

堀田
衛星がのってるわけではない,と。
あと,ネットワーク担当者研修と言うのは

中川
我々2名体制で研修を受け持っていますが,つい最近あった研修としては,一般的な講義から,的を絞ったもの,ごくごく初心者まで幅広いです。

堀田
そこにある女性連盟ってなんですか。

中川
女性教員の集まりがあるんですね,そこへ出前で研修しました。

堀田
そういうのは電話がかってきて呼ばれるんですかね。

中川
そう,我々のスケジュールは公開されているので,空きを見て予約が入る。

堀田
教育委員会支援というのは?

中川
市教委が必ずしも全て話がわかるとは限らないわけです,現場の希望を市教委がどう解釈したら良いか,というのを我々が助ける,オブザーバー的な立場として教委は考えていると思います。

堀田
確かに,通訳いないと分かり合えないもんね。

中川
それから,仕掛けとして,郡内の8町村,それぞれの街をうまく競わせるしくみがあります。総合的な学習の時間のための予算をつけているところがあって,○○町ではそういうことをやっているらしいですよ,と。

堀田
今のようなことを2人体制でやってるわけですが,学校では何をしていますか。

中川
昨年1年間の私の行動を場所別でグラフにしてみると,仕事の割合としては,学校では3割,センター内では2割です。
総合のTTとして学校にいます。担任と組んで,コンピュータはこう使う,とか,校内の仕掛け人として,他ではこうだったああだった,うちでもこうしましょう,と勢いづける。

堀田
三好郡は多少トリックを使ってでも,こういう人材を置いているわけですね。

中川
法律上は加配教員,教員である以上授業をしなければならない。県教委もすれすれで認めてくれてるのでありがたい。学校インターネットというのは普通,1つの自治体で受けますが,うちは郡で指定になりました。郡は行政単位とは関係ないので,新しい組織が必要です。ばらばらな行政が1つの組織を作った。元々センターで指定になってるところは,担当者がいるが,うちはまったく何もない。教育長が,そういう人が欲しいと,県教委にお願いに行って,それを勝ち取った形になっています。
郡内でも回線の接続法や環境がいろいろあるが,それらを統括する人がいないとダメ。こういう事業は,はい終わりではなくて,活用しなければならない。

堀田
そういう担当者を置くことに対する要求と言うのは,教育長のトップダウンで決めたのか,それとも民衆の声と言うか,現場の強い要請があったのか。

中川
うーん,「学校インターネット」という事業がありますよ,と働きかけたのは僕なんです。年末押し迫ったときに,電話掛けまくったのを覚えている。

堀田
でもけんもほろろに断られるでもなく。

中川
ですね。

堀田
担当の指導主事は?

中川
いませんね。

堀田
中川先生は指導主事ではないんですね。

中川
そこにやりやすい部分があります。

堀田
まあ,以上です。三好郡は,完全にトップダウンでもなく,人事に関しても非常に柔軟な運用をしているということが分かりました。

最後に中川先生の活動を知りたいと思ったとき,発信している場所はありますか?

中川
自分のサイトに日記があります,なるべく日々の問題点なんかを書きとめてるので,あとで見直すと,問題の傾向がわかります。あとは,学会なんかでも積極的に発表するようにしています。

堀田
これがそのページですが,だれと飲んだとか,あ,それは僕の日記か(笑)。
ずーっと,何の問題があったとかを書いている。これを参考にしてもらうと,今日の講演が補強できる。

レポート「ITCeの仕事ぶり−中川事例の報告」
レポーター:正來洋(金沢大学教育学部・内地留学生)

正來
なぜ私がここでお話するかというと,私自身は金沢大学の研究生という立場で,一年間現場を離れて勉強してこい,という制度にあたりまして,今のような立場です。
私の研究テーマが,ITCEの現状,諸課題となる分野を報告するということですが,せっかくなので,論文としてまとめるということを目標に勉強してきました。
ITCEといえば,中川先生,ということで,夏に無理を行って2日間べったりと取材しました。

今日のレポートですが,中川先生の活動の背景についてですが,まずビックリしたのは,郡のネットワークセンターがあることですね。そのようなものは私の周りにはありませんでしたので,非常に驚きました。浜松では西遠総合教育センターにあたりますかね。

堀田
西遠はどのくらいの学校を見てますか。

仲村
学校は150くらいですね,9の市町が範囲です。西遠教育センターですので,ネットワークセンターというのはまた別にあります。

正來
中川先生の活動の中で,重要な点は,行政への働きかけだと思います。この中で,ITCEの定義,どんなことが期待されているか,というのがあるんですが,そこに書いてある,教育委員会に所属して働くITCEとは,すこしずれている部分もあった。ネットワークの構築,実際に学校へ言ってネットワーク引くというところまで,中川先生がやっているところもある。ただ,そうしたニーズの把握は非常に重要だと思う。

加えて,中川先生が,自分の業務を外に向かって発信していた。それが重要,地方紙にコラムを持っていたり,地方ニュースの取材を受けたり,そうした部分で行政の理解を得られていくのではないかと。また,全国の先進的なプロジェクトに参加していることも,中川先生の仕事を行政に理解してもらえることにつながるのではないかと思う。行政の理解を引き出す,それに対して発言力を確保することがITCEとしては重要なのではないかと思いました。

学校現場の対応と言うことですが,私は中川先生の日記を全て分類しました。それを見るとネットワーク環境の維持管理に走り回っている様子がよく分かります。ネットワーク環境を非常に高度なレベルで把握している。
ある幼稚園でネットワークが動かなくなったとき,Ping飛ばそうということなったんですが,ここはIPアドレスが何番と,すぐに分かる。
学校現場での徹底的サポートですが,この写真はビデオ教材の使い方を現場の先生と話しているところですね。そうしている最中にも電話がかかってくる。電話一本でつながってサポートしてくれる。徹底的にサポートしていますので,非常に安心感があります。

中川
2人で年間1400時間くらい動いています。

正來
また,現場ソリューションということ。教員にとっては,専門外のネットワークのことは負担が重いです,そこを引き受けているということで,非常に信任が厚いのではないかと思います。

情報教育の推進と言うことでは,私的なサークルを主催している。地域の実践的技術的リーダーの育成も目指しています。先進地区である三好郡から周辺地域に行ったときに,そこでも力を発揮できる人材を育てる,また三好郡へ移動してくる人材にも,情報教育への意識を高めるのも中川先生の仕事。

コーディネータの資質としては,やはり専任でやっていることが重要。柔軟な活動,一度,指導主事ではダメなんですか,と聞いたことがあるが,発言が県の見解だと思われることがあると,あと,今の段階では,教員出身と言うのも有利に働いている,と話していただきました。

また,自己研修の重視もある,全国での先進的なプロジェクトに参加して自分を磨く。

まとめると,学校や行政の実態把握と,濃密な働きかけがある。地域や校内のリーダー養成をよく考えている。情報教育のトレンド,先端を追いかけている,そのための自己研修を重視。現実を踏まえながらも,ビジョンの実現を段階的に目指すコーディネート業務をしている,というのが,中川先生の事例です。

堀田
ちなみに,正來さんもこういう業務を目指している。
皆さんに気を付けて欲しいのは,文科省のITCEのデザインと,現在の中川先生の活動が完全に一致しているわけではない。中には,本来は学校でやるべきこと,本来は業者がやるべきことあるが,すべてやっている,これは過渡期なので仕方ないと思う。
”今は”教員であることが有利。きちんと立場が保証されていくと,変わっていくのではと思う。

講義「ITCe2級で期待される能力および傾向と対策」
講師:中川斉史(三好郡教育ネットワークセンター)

堀田
講義ですが,一応2級を目指すということです。3級はウチの学生でも4人取ってますので,そこそこでも取れますが,2級はそうはいかない。

中川
2級をとるため,というか2級ではこういうことが要求される,という話をしたい。選ばれた方が集まっているので,受験テクニックではなく,その人の力を伸ばすような,付け焼刃的でない話をしたい。

いくつか写真を見せますので,その写真で工夫や意図を見抜いていただきたい。

たとえばこういう,あるパソコン室の先生が座る場所ですね,これを見たときに工夫や意図をいくつ挙げることができますか?
まず,机の下に入っているものはなんだろうか,サーバーかな,と,何でガムテープが貼ってあるんだろうか,これは電源部分を抑えているわけ。
左側のモニタには,サーバー機とコントロール機とある,先生機とコントロール機というのがある,私は,先生機と言うからには,生徒機とまったく同じでなければならないと思う,先生機と名前がついた生徒機です。だって提示するわけですからね。世間で言ういわゆる先生機はコントロール機として分けています。
ケーブルが乱雑なのは目を伏せて欲しい

これはNAS,ネットワーク上のストレージですが,これを学校では勧めていきたい。サーバーがおそらく学校では頻繁に変えられないので,たちまち容量がなくなる,それでNASを利用する160Gの容量で裏にはLANポートがひとつあって,ネットワークに接続できる。ウチの学校ではNASをバックアップ用に使っています。これから学校で使う場合,NASの存在を忘れてはならない。
この写真はまず,グループで活動できる場所があり,まわりを端末,後ろには本棚と言う配置,とても意図されている。
端末を見るとマウスが光学式になっている。光学式ではないと困る理由が学校にはある。ボールを取ってしまう,とか,あるいはメンテナンス,消しゴムなんかを使うので,光学式の方がいい。
いすもキャスターはやめる,回転もやめる,遊んでしまうから。シンプルな椅子のほうが単価が高かったりするが,それはそれで意味がある。
この写真は,まずい例なんですが,子どもが座ったひざの位置にブレーカーがある。苦肉の策として,赤いガイド,これをはめるとブレーカーが下りない。下りないブレーカーに意味があるのか,と言う話があるが,とりあえずの対策。普通に電気屋に頼むとこのへんはまったく分からないですね。
これは電話線だが,どこに電話線があるか,防火扉のところに線を出したまま工事する○○○(通信事業者)は何を考えているのか,と思うが,そういう所をITCEはチェックしないといけない,観察する目がなければいけない。

さっき正來先生が言った,地元でテレビで放送されたものがあるのでそれを。

NHK徳島のニュース映像を視聴

中川
というとこで,さっきあったように,こういうことを三好郡でやっていますということをアピールする意味では,非常に重要かなと思います。

さてここからは,私の近くに寄ってみると・・・,ということで自分をさらけ出していきます。

これは私が読んでいる本です。基本的に情報源はこの6つ。日経ネットワークは特にお勧めですね。あと日本教育新聞にもいい情報が載ってますね。
僕の車の後ろを開くと,いろんなコンテナがはいってる。工具箱の中身はこう。結局サービスカーみたいなもんですから,ケーブルラベルは非常に重要です。見つけたケーブルに印を着けます。LAN口もよく使います,太いビスもよく使います。

当然のごとく,カシメ類,ドライバー,キャッチャーや,配管の中を通すワイヤー。常に100Kgくらいのものを載せている。

それから,各種延長ケーブルをたくさん載せている。タップは大体学校にあるが,ビデオ信号の延長ケーブルはない。これは普通の電気屋さんでは売ってません。こういうものを学校に貸し出す。行事なんかのときや,体育館で映したいとかいう要求があったときに。
これは自宅の駐車場。来た人が,建設関係のお仕事ですか?と聞きます。三脚やら回転椅子やらなんやらいろいろありますが。
常時持ち歩いているカバンの中身をお見せします。中は,名刺とか,押さえどころは,メジャー,ドライバー類,現金,通帳,これはセンターの通帳,OSのサービスパックやパッチを調べるツールを焼いたCD,あとはブートフロッピーディスク,98タイプやDOS/Vやら,一式入ってます。
ノートが入っていて,いつどこで何をどの学校でやったのかを記録している。このノートには,郡内のNWの全てを記入している。
あと,常に持ち歩いているのは,DV,変換コネクターもTV会議の時には非常に重要です。
鍵ですが,キーホルダーにもドライバーがついてます。電源の端子盤の鍵と言うのは規格が大体同じです。大体の学校では,鍵ありますか?というと時間がかかるので,行ってすぐ開けられるように持ち歩いています。

これは自宅ですが,各種OSのマシンを入れておいて,検証します。Windows系は全てあります。

結論は,非常に整理が苦手です(笑)。時系列に並んでいることを覚えているだけです,そこから取り出す。単にそういう性格なだけですが。以上あまりお見せしない部分をお見せしました。

さっきのVTRは学校支援の部分が多かったが,今度お見せするのは技術支援の部分です。

堀田
この放送は?

中川
自作です。

映像視聴

中川
これは昨年のITCE2級試験で作ったプレゼンです。課題は,「学習者が安心して使えるための方策を述べよ」ということです。2級で求められることは,整理されていること。課題を整理しないと,自分の知っているところしかアプローチできない。「安心して」,という言葉の中にどのような要素が入るのか,ということを整理します。

現場サイドからの見方と,それを解決するための方策があります。
大事なのは,どこを研修として学校でやってもらうかということ。あと,2級試験では,具体的な品物を入れないといけない。この商品はここが売りだと,自分の提案にたいして,これが優れていると説明できないといけない。

学校のトラフィック軽減のためのキャッシュサーバーの導入
有害情報のフィルタリング
この辺は商品説明に近いが,きちんと調べて説明できるように。

個人所有の持込に対するウィルスのリスク。

普段とっている日経ネットワークに企業ベースのネットワークの状況が乗っています。企業は学校よりも進んでいるので,企業の内部で起こっている問題がいずれ学校にも来る。先を見越して提案する。

あとは,どこで妥協するか,ということを見極める,完全なセキュリティは,つながないことですから。

堀田
僕の印象では,商品のことを言う人はいるが,研修のことを言う人はあまりいなかった。一番のセキュリティホールは人。そこを突っ込むと答えられるかどうか。

中川
試験のときは8分以内のプレゼンなので早口でした。
事例から問題点を見ていきました。制限をかけすぎると,別のNWという穴をあける可能性がある。管理法が統一されていないと,管理が大変,ユーザー管理,IPアドレス管理。やっぱり事例を出します。

堀田
試験の時はビデオだったので,ビデオは次々に同じのを見ないといけないので,結論から言う人の方がいいですよね。解釈は人それぞれで,ひと通りではないしないし,解決策は他にいくつもあるので,ポリシーを持って言えてるかどうかというのが重要になります。

中川
問題をいろんな方向から攻めます。子どもなのか教師なのか学校なのか地域なのか,誰にとっての安全か。

堀田
今回は,中川先生が日々どうしているかということと,2級の2次試験でのビデオプレゼンを作るのにどうしたらいいか,という貴重な話が聞けました。

演習「2級2次試験模擬課題をやってみよう」
講師:中川斉史(三好郡教育ネットワークセンター)

中川
後半は演習です。
まずは準備運動です,考えてもらって発表してもらいます。

A小学校の先生からデジカメを買いたいのですが,何を買ったらいいですか,と相談された。ITCEとしてどう答えるか。ポイントとしては,何を問い返すのか,ということ。

答えはいくつかあるし,問題に対し,自分がどう捉えたのか,ということがあるので,むしろいろんな方向から見るのが重要です。ではどうぞ。

受講生
聞かなければならないこと,誰が買うのか,小学校で購入するのか,個人的に購入するのか。目的は,授業で使うのか,きれいな写真をとるのか。何台買うのかというのは予算との関係がある。テレビにつなぐのか,PCにつなぐのか,印刷に使うのか,

中川
すばらしいですね。聞くところは的確です。私が用意した答えと一緒ですね。学校で買うのか,個人で買うのか。画素数のことは学校で使うなら150万画素もあれば十分です。ビデオ出力は学校の授業で使うなら必須でしょうね。いまある学校のメディア環境も重要です。電池も重要です,専用電池だったりすると大変です。
起動までの時間のことも重要。カタログを比較するわけですが。起動までに時間のかかる機種もあります。あとズームがいるのかどうか。
最後には,授業でどう使うのか,ということをアドバイスできることが重要。スピーチや取材の方法をおまけの話としてできるといい。

準備運動2
B小学校の先生から電話で「インターネットができません」といわれた。ITCEとしてどのように対処するのか。おそらく確認することがほとんどだと思います。何を確認するのか。ではどうぞ。

受講生
インターネットができないとは,何ができないのか,他のマシンはどうか,近隣の学校ではどうか,ハブの電源やケーブルについてはどうか

中川
これは電話を掛けてきた相手を知ってるか知らないかで対応が全く違います。地域に根ざしたITCEの意味が出てきます。今言われましたが,インターネットができないと言っても,ブラウザなのか,メールなのか。どのパソコンでもそうなのか,それ一台だけなのか。特定のパソコンであれば,よくあるのが,家で使っているPCが使えないというのはよくある話。それによっていつからなのか,ということも大体わかってきます。
あと,電源が入っていますかではなく,ランプはついていますか,と聞きますね。Dellのサポートでは全てそうやって聞いているそうです。目で見て確認できることを聞くわけです。

では,予想問題に入ります。
ある市内で,教師にPCを配布することになり,いくつかのディーラーから提案があったが,その提案に対しITCEに意見を求められた,どのような基準を持って意見を出すか。
いくつかの要求があり,そこにたいしてどのような解答をだすか。

ではどうぞ

受講生
「メールのことだと理解しているので初期設定がされている方がいい」
「授業でも使うので,NWの設定がされている」
「データを校内サーバにということなので,Win系のサーバではアクセスライセンスの料金が含まれているかどうかと言うこと。」
「印刷はと言うことなので,NW整備がされた校内LANの設備」
「教室でやりたいということで,校内LANの整備含め,無線LANについての提案があるかどうか。」
「ドライブイメージのようにして,クローンを作って簡単にできるかどうか。」
「職員に持たせるので,家に持ち運びをするということなので,小さめのマシンがいい」
「無線と有線の切替が標準のもの,OSはWin2000あるいはXPプロ」
「メールサーバが開かれているものかどうか,MLが置けるものかどうか。」
「ついでに言えば,ウィルスに比較的強いとされているメーラが望ましい」

中川
チェックポイントとしては,解答の中には,先生方にいかにして使わせるかと言うことを含めなければいけない。強制的に使わせるようにするにはどうしたら言いか,その仕掛けが必要。市と学校間ということでグループウェアが目立つところではないかと思うが,その研修はどうするのか,とか。ノートのサイズや仕様としては,持ち運びが多いので,A4ではなく小さ目のものがいいのではないか。そのためにサスペンドがしやすいというのもポイント。データを校内で作成し,サーバにデータを保管するのならば,ネットワークドライブのオフラインフォルダ機能がつかえるXPプロがいいですね。
リストアについては,一番頻繁にバックアップを取れるのは,自分のドライブですので,バックアップを取るという意味で,ドライブが二つに分かれていること。
生徒からデータが見えないようにする,という点に関しては,基本的に教師のマナー,使う意識の問題ですが,パスワードをかける。間違えてもモニタの横にパスワードを張らない。これは研修です。
印刷はキャンセルが上手くいくかどうか。デジカメはスロットがついているかどうか。グループウェアは一般向けのものではなく,きちんと時間割で管理できるかどうか。メールは相手が見たか分からないので。相手が見たかどうかをチェックできる回覧版がいいですね。
あと,学期途中にアップデートがあるので,ユーザの権限をどうするかも気にします,PowerUserでは無理なことも出てくる。

1人が端末を持つ以上,校内のスタートページが非常に重要になります。ブラウザを中心に先生方のネットワークが動き始めるということ。毎日見てもらうような仕掛けとしては,学校があるところの天気予報や注意報に管理職は敏感です。毎日見てもらう情報として,そういう情報をそこに置いておかないとダメ。パッチなんかは,校内スタートページからリンクを貼っておく。

ちなみに僕の勤務校のスタートページです。

堀田
この掲示板は見れますか,朝礼はどうなりますか?

中川
今年はちょっと増えたんですが,全体は減っている傾向にあります。
掲示板に行事の情報なんかが書き込まれると,出張でその日行かれなった先生も確認できます。

堀田
こういうのは機能としてはよくありますが,ちゃんと動いているところは少ないですね。

中川
やはり強制的に使わせる,という取り組みが重要になりますね。

ディスカッション「私たちの周りに足りないものは?」
リード役:中村武弘(三重県教育委員会教育サービス部)

中村
私はこういう機会がないと勉強できないので,いい機会だったと思います。

堀田
ちなみに中村先生2級は持っていますか?

中村
いえ,ちょっと経済的理由で。

堀田
受験料振り込むのを忘れて受けられなかったんですね。だから今は準2級(笑)

中村
私達に足りないものは何なのか,お金とか政治力では無く,その辺を聞いてみたい。
現場では,授業の補佐,機器のメンテナンスとか,つい,その場しのぎのものを求めてしまいがちですが,授業の協働,つまりカリキュラムの整合性や,機器の導入の相談など,忙しい時の便利な人ではなく,本当に便利な人が必要だと思います。

安本
学校側の求めているITCEと教委の求めているITCEの隔たりはありますか?

中川
非常にありますね。地域の教委の温度差はありますが,わりと田舎の教委は,時代がどうこうよりも,いくらかかるかるかを気にする傾向がある。最初は,いかに安く上がるかと言うことを提案し,そこで1つの信頼を得る。
現場はお金が無いことは前提として,決められた条件のもとでなんとかやる。センターが,そこにどうしたら便利になるかを考える。

中村
そこで,教委に納得してもらいながら,現場の要求も満たす要求をだすと。

堀田
企業人の提案は綺麗だが,やっぱり企業の目線。さっきの天気予報なんてどうでもいいが,それを盛り込んだトップページを作れるかどうかというとどうでしょう。逆にそこを勉強していただけると2級合格に近づく。

中村
ITCEに必要とされる要素は非常に多面的で,自分でやるのは非常に難しいので,そういう状況に身をおくことが重要。

堀田
日頃そういう役をもっている人は強いです。ただ,そういう場所にいない人しか受からないか,と言うとそうでもない。バディ・コミュニケーションズのOさんはどうして2級受かったのかな。

狩野
Oは教育委員会や学校など,いろんな場所で話を聞く機会がありますね。

堀田
スズキ教育ソフトのMさんはどうでしょう。

西ヶ迫
いろんな導入例の情報が入ってくるので事例がたくさん出せるのでは。

中村
Mさんのことで,加えてですが,彼女は永野塾に来て,勉強してます。いろんな研究会にいたりします。そういうところで話を聞いて,多面的な見方を身につけている。

堀田
そういう意味では地の利的に有利不利がありますが,それでも合格者は全国に散っている。でもあちこちの研究会で見かける人は確かに多い。九州の合格者の人は,教員の研究会を下働きでずっと支援していました。結果として自分のためになっている。

中村

ITCEの使命とはどうだろうか,使命を持っているかどうか。
宣教者であると,情報教育の普及と授業の流布,そこに厳しい修行があるかどうか。
やはり未開の地に挑むという覚悟が必要ですね。あとは,ALLWINにならないといけない,企業と学校,今まではどちらも不幸な状態でした。

ICTeの仕事は、いかに限られた予算で学校に有効なプランをだせるかです。

堀田
実は,現在ではITCEの資格を持っていてもいいことは一つもない。でも今取ってる人たちは前向きで力がある。ALLWINということで言えば,ITCEに限らず,何かのコーディネートする場合のバランス感覚が必要かもしれないです。

中村

学習の仕方と言うことで,普段から活動し,考えていることが必要。
怒りがあるか,怒りを活動や研究にぶつけること。

強い意志と財力。受験料の一万円を惜しむな(笑)と。

堀田
怒りがあるかということで言うと,怒っているだけの人は多い。それを前向きに変換できるかどうかが重要。