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情報学特別講義III

井門國高・浜松支店長

2002年12月18日(水)情報学特別講義III
「情報ビジネスの現場から(特に浜松地区と情報化)」
井門國高・浜松支店長

堀田
営業サイドによってSEの仕事をみてみる。最後に昨日と同じように課題レポートをやってもらう。事務連絡。どうしても都合がつかないで事情があって、授業の一部を欠ける場合は堀田までメールを。今日までなら対応できる。

藤森
富士通浜松支店の藤森と申します。さきほど堀田先生がありましたけど、政府の考え方、e-Japanなどキーワードが出てきました。今日は「情報ビジネスの現場から」をテーマに命題をいただきました。富士通浜松支店でリレー形式で3名来ます。午前中は支店長の井門の方から富士通の営業ということでお話を。午前、午後という形で、昨日公共系の話をさせていただきましたが、社会に出られたときに身近な業務。製造業、流通業など身近に感じられるところの話。製造・流通におけるIT化。担当課長の山下からお話いただきます。昨日、市町村合併の話。CATV等の話。大きく3つ+皆さんの課題作成。

井門支店長
おはようございます。井門と申します。生まれは葛飾で生まれました。大学時代は皆さんと同じように、経営工学科を出ました。だいたい皆さんと同じようなことをやっていたと思います。会社を選ぶときに、だいたい先生が選択肢をいくつかあげてくれる。営業がやりたくて商社を受けた。受かろうと思って二流をたくさん受けた。電気系の会社はいろいろあって、日立、東芝、三菱電機、富士通と。面白そうだということで富士通をうけて20数年います。理科系なんでSE教育を受けました。当時は富士通も裕福で1年間教育をして、現場に配属されて、その後の配属先が決まる。富士通電算機学校の先生をやれということで3年間やった。当時は機械語のアセンブラ、Cobol、Fortranや自社OSの話をした。最初は楽しかったけれど、6ヶ月ごとに生徒が変わる。一般の会社から派遣された人が夜勉強したり。おしえる方は3年間同じことを教えていたので飽きてきた。元々営業をやりたかったので、富士通は「ここに行きたい」と言ったら希望をかなえてくれて営業にうつった。最初は東京で営業をして、ソニーやホンダなど製造業の大きなところ。その後、名古屋で製造業担当して、その後浜松にうつって2年半。今日は会社って何をやるのかおそらくみなさん分からないと思う。特に我々がやってる営業って何やってるかをちょっと話したいと思う。

世の中いろんな営業が居る。新聞、保険、車。個人に対する営業。会社に対する営業がある。車の営業は大変だと私思うんですが、金額的に大きいのが建物売る。コンピュータのセールスは真ん中よりちょっと上のビジネス。営業やっていると「大変ですね」「ノルマで営業はやりたくない」とか。最近はリストラ対策で、営業にまわして辞めさせてしまうとか。夜討ち、朝駆け、接待、談合なんてのはやりませんがね。夜討ちは僕もやりました。アポなしでピンポーンと入っていく。せっぱ詰まるとやる。朝、お客様が出勤するころを見計らってやる。商談を取りたいのでそこまで行ってやる。うまくいく場合もあれば怒られることもある。昔はよくそういうことをやった。

オカダ社長とありますが、富士通の35年前の社長。「企業は受注から始まる」という名言。よくある図だけど営業の図。開発して、生産して、売る。受注するときに値引きして取る場合もある。ふつうにやると赤になるけど、10億円とって、原価が11億円だった。商売を取らないと、何も先に進まない。とりあえず取ってみる。その後内部でがんばって原価を9億円にして1億円もうけるということをやってる。ふつう会社のルール通りにやると、相手もある仕事なので通らない。受注をとって会社がぐるぐるまわっているというわけです。会社は商売して、回っている。

富士通の営業。お客さんの窓口は営業。会社にもどって「指揮者」とありますが、SEや技術部やいろんな部隊を調整する。調整をしていい提案をお客様にする。役はパイプ役、指揮者、プロデューサーです。役割ってありますが、ふつう製品とかサービスは標準のものがありますが、お客様のところにいって「何かありますかね?」というご用聞きセールスだとほとんど売れません。お客様に利益を生み出す情報を提供する。窓口ですからお客様の情報を取ってきて社内にぶつける。情報を集める尖兵隊。最近はコンサルタントしてからセールスしたりする。ベンチマークといって、将来のシステムを提案する。何か相談したいといったら、後ろを振り返ったら営業が居るような、観葉植物。たとえば、堀田先生がぱっと振り返ったらうちの藤森が居る、みたいにね。

別にコンピュータに限らずセールス一般のことですが、自分を売る。まじめさ、熱意、積極性。さらにスピード。言って一週間後に情報もらっても遅い。あとはマナーと言葉使い。一番大事なのはお客様が得する情報をもっていって、「あの営業なら…」という気分にさせる。

25年前は、コンピュータ会社はIBMも日立も富士通の自社OSだった。ですからハード中心で、スーパーコンピュータは当時48億円、オフコンが1億円くらい、ダム端ってのは差別用語ですが、インテリ機能のない端末。今はオープンな時代ですから、何でも売ってます。すべてのソリューションを提供している。プラットフォームですと、サーバー、PC、ネットワーク、ディスク。それがだいたい富士通の6割くらい占めています。残り4割が、ソフトやサービス。IBMは5割以上ソフトとサービスで食ってます。ソフト・サービスってのは、コンサル、ERPパッケージ、アウトソーシング、ソフト開発、ASP.ASPってのはApplicatoin Service Provider。自分のところでコンピュータ入れないで外でやってもらうサービスのこと。ERPってのはEnterprise Resource Planning。生産のシステム、給与、人事のシステム。自分の会社の状況がぱっと見られるのが利点。このパッケージは高くて100億円くらいにもなる。浜松でも某音楽楽器さんがこれを入れようということで、100億円くらいかけてやっている。富士通もこういうパッケージありますが、大変です。

ふつうコンピュータ売って開発する。いろんなものが売れる。CATVってのは、浜岡町、浜松ケーブルテレビなども富士通の営業です。あとは自動倉庫研究所。建物+IT部門。建物も売っちゃう。ふつう建物を売るならゼネコンが売ればいい。IT部分と絡めてウチが売ることで評価もらって売れる。億の単位。浜松ではオートレースの電光掲示板とか、倍率のオッズなどをお納めしている。自動車ライン制御。富士重工が台湾の高尾に工場を造るということで、国内にシステムを売った。1億円くらい。あとはPCのロット商談。ロットで売れば20億くらいになる。実は名古屋に居たころに事件があって、ある会社がPCを企業にしか売らないという契約をして何千台と卸した。FMVでどっと卸した。ところがお客様が秋葉原の方に行って、モノがないのにある秋葉原の店にトラック横付けして1日に5%くらい日本の市場が下がった。うまくやらないと大問題になる。

浜松支店は、民需グループの製造と流通部隊、あとは公共グループの官公庁と学校の部隊。予算は年度で60億円。ひとりノルマ6億円。金額でかいですが、我々の後ろにはSEが1万人とか、技術屋が何万人とか居るので、営業のノルマはこのくらいになります。営業ってのは幸せで、ふつうですと担当の人くらいにしか会えないんですが、うまくいくと社長さんや会長さんに直接提案できる。それなりの人ですから、話面白いし、勉強になります。浜松地区ですと、浜松CATVの会長ってのはスズキのスズキオサムさんだったり。地元の、日本の大企業のトップにお会いできるのは幸せだと思っています。

私は面白いと思ってるんですが、自分次第で何でも出来る!と。富士通ってルールがなくて、営業が何かやりたいと社内を説得できれば何でもできる会社だと思ってます。SEと営業ってのは一体でして、営業とSEがお客様に対する提案を両方まとめて提案する。我々はSE以外の技術部やモノの手配にも話を持っていって、社内をぐるぐるっと回す。それは営業がうまく裁けば何でも出来る。山下課長も理工系の出身ですが、理工系の人が営業をやると別の意味で面白いと思います。もしよかったら営業へ。商売を取ったときは泣くほどうれしいです。

山下課長
おはようございます。富士通浜松支店の山下と申します。支店長に引き続きまして、私から製造・流通業におけるIT化についてご説明したいと思います。一般的な話になると思いますが、現場でお客様こういうこと考えているんだ、という部分を学び取ってほしい。

最初に自己紹介から。1984年富士通に入社。当時は入社して1年間はSE実習というのがある。現場に出る前にCobolや基本的な言語の勉強をする。なぜか私の場合、4月に入社して7月に新入社員導入教育を終えてすぐ出向になった。FFCという富士通と富士電気が資本折半でつくった会社。工業用計算機と当時呼んでいた。いろんな製造業の行程を制御するコンピュータを中心に売っている会社。そこの営業として7月に出向になりました。以来、今日まで営業一筋です。営業って面白いですよ。FFCに出向になったときは、電機と土石窯業。セメントやガラスを練って製品作る業者。当時、日本セメント、小野田セメントを担当した。出向させられたんですが、87年に富士通にもどって当時の横浜支店に移りました。そこで役10年間、電気関係を担当して、97年に静岡支店に配転になりました。静岡に来て製造業のお客様中心だったんですが、静岡に来てからは流通情報サービス。具体的に言うと、静岡新聞社、静岡鉄道、静岡ガス。流通業ではスミヤさん。CDやビデオなど売ってる会社。今年の4月に浜松支店に移ってきました。以上略歴。

概略。商談の進め方。担当している市場である製造業・流通業のお客様がIT化をどう考えているか。それに対して富士通はどういうソリューションを提供しているか。サポートしているソリューションの中身の話。次からは割と教科書的なB2B、CRM,PLM、ERPなど。ソリューションを導入したお客様の事例。こうしたソリューションを支えているのはSEですから、営業からみてSEに何を期待するかを最後に話したい。

毎日お客様といろんなシチュエーションで話す。お客様のトップに対してプレゼンテーションをする経験を数多くこなしてきた。しゃべって20分です。お客様も2時間も話したら飽きられてしまう。持ち時間2時間いただいているんですが、導入事例で50分ビデオ流すんで、1時間くらい話さなければならないかな(笑)

富士通浜松支店の営業組織です(図)。全部で10の営業本部があります。その中で浜松支店は東日本営業本部というところに所属しています。上から毎日いろんなことを言われながら苦労しているということを説明しようと思ってこのページを出した…わけではなく、これは全部業種単位の営業体制です。第一営業部が公共、第2営業部が民需系、浜松支店も私が担当する製造・流通、公共担当のグループがあります。

主要ターゲットユーザー。製造業の企業がいくつか、流通業の企業がいくつか。いずれも富士通だけではなくて、日立さんのコンピュータ使ってるところもあれば、NECのコンピュータを使っているところもある。その中のある部門で富士通のソリューションを使っていただいている。富士通の認知度・シェアを広げようと思っている。私の下で担当5名いまして、ここに書いてあるユーザーさんのほかにも担当している。年度でひとり6億円くらいのノルマをもってます。

具体的にどんな形で商談すすめているか(営業のバックグラウンドにひかえている部隊)。名古屋に本社のあるSE会社の富士通中部システムズ。業種単位のSE体制をとっています。コンサルタントでは、富士通総研。シンクタンク。富士通はSEが全世界に6万5千人いるそうです。国内だけで3万5千人。その中でもこの分野に秀でているエキスパートSEが3000人。コンサルタントの肩書きのSEが100人。バックに控えるSEが居ながら、営業をすすめていく。

景気は今現在低迷しています。消費者の買い控え、購買意欲も伸びていません。小泉さんと、竹中さんにがんばってほしい。設備投資や情報投資は押さえ気味。企業は生き続けなければならないので、在庫圧縮しよう、お客様と密着しようというリテールサービスの向上など。厳しい環境下ですが、ITを活用して生き残りをはかろうと。

SCM/ERP市場。時価で土地の価値を明らかにすることが97年頃から盛ん。連結決算・中間決算・キャッシュフローなど証券取引法や商法で制度の施行が始まっている。追随する必要がある。経理の負担が増えているのでERPを駆使した会計システムの導入が始まっている。2000年以降はロジスティックス。SCM/CRMの導入が始まっている。このページだけで英語がいっぱい出ている。こういう3文字の言葉知っていて会話の中で出すとなんとなく賢く見える。だからなんてことはないですが。これらの言葉はキーワードになると覚えておくといいです。

そういった環境に対して富士通がどんなソリューションで挑んでいるのかをお話します。
1つの絵にしました。お客様を取り巻く、取引先とのB2Bの関係、一般コンシューマへのCRMのソリューション、自社内のPLMのソリューション。企業情報を処理するERPソリューション。もっと広いSCMのソリューション。この5つがキーになっている。どのお客様もこの五つの分野をIT化することによって売上を伸ばそうとしている。この五つの分野に対して富士通も色んな提案をしている。
今からこの分野の富士通のソリューションについて説明していきたいと思います。

最初にB2Bソリューション、Business to Businessのこと、似た用語にB2C、G2Cなどがある。簡単に言えば、インターネットを活用した企業間取引のソリューション。インターネットを活用することでビジネスが効率的に、かつ活性化することをお客様も期待している。

いろんなソリューションを持っているが、最近はProcureMARTサービスというのがある。見積もり業務など、調達業務全般をサポートするソリューション。電機、精密機械業など、5000社近くに導入してもらっている。これは富士通が社内での資材調達の仕組みでつかっていたもの、そのノウハウを結集して作ったASPサービス。

CRMですが、富士通の中でCRMを定義づけ手要るが、これはお客様を大切にする、と言う文化をITでよみがえらせたもの。サザエさんの三河屋さんのようなもの、かつては商人の頭の中にあったお客さんの情報をITの利用でよみがえらせたもの。基本はお客様を大事にするということ。

そのCRMの世界で富士通がどんなソリューションを提供しているかと言うと、これはすこしくどい図ですね。お客様に接触するのには、メールやWeb、最近ではIP電話でのコンタクトも増えてくると思う、こういったマルチ的なチャネルを統合的に管理する。履歴情報などをデータベースにいれて、それを元に、どういうサービスを提供するかと言うことを、企業の戦略レベルでもそうだし、お客様のサポートにも生かす。部分的には、たとえばコールセンターのソリューションなど富士通グループでいくつかのものを持っている。

実際にCRMを使っているところとして、ジャパンネット銀行があるが、ここは、メールと電話の情報を連携させて、さらにバックの勘定系のシステムも連携させて情報を分析している。

PLMというソリューション。これは何かと言うと、特に製造業のお客様のものづくり全般、商品企画から開発、生産までサポートする。富士通は昔からCAD/CAMをやっていたが、それを元にしてPLMソリューションを行っている。VPSということを今富士通が一番力を入れているが、これは、色んな情報を元に実際の製品のテスト、組み立て性などが仮想的にできたる仕組みです。
PLMの世界で富士通がどんなソリューションを提供しているかと言うと。コンサルティングから解析・設計など全てやっていて、全部説明すると一日でも足りない。この分野は世界的に伸びている。特に3次元CADなどは伸びている。大手では3DCADはほとんど導入が一巡した。今度はそれを別の活用をするように視点が移っている。関連会社の間の情報交換に使ったり。営業的にはおいしい分野。製造業は皆ここに注力するようになっている。なぜかと言うと、今までの企業の仕組みは、良い製品を継続的に作るためのシステムとして、SCMとかCRMなど、いろんなことをやられてきているが、PLM生産そのものを効率化しようという動きが多くみれられる。

ERP、企業の中で必要となる情報は色んなものがある。販売情報、生産情報、あるいは従業員の給与の情報など、これらの情報を最大限に活用するために、統合パッケージとしてERPが注目されている。昔は何処の会社も会計システムをいれて、次に何のシステムをいれて、と言う風に、個別にやって、それぞれを繋いでいたが、それがだんだん難しくなって、リアルタイムに整合性が取れなくなってきている。今、経営者が一番欲しいのが、リアルタイムの情報、今、自分の会社がどういう状態にあるのかということ。今と言うよりは、もうここ5年くらいある。
この分野の富士通のソリューションとしては、GLOVIAというのがある。これは、富士通のソリューションの中核。DellコンピュータがこのGLOVIAを使っている。
SAPのR3とかOracleのOracleEBSなど有名なのは他にもある。社内でも他社のシステムをサポートする部隊があって、それを売っている。節操がないと言われるかもしれないが、その辺は柔軟に、商社的になっている。この辺も富士通が注力する分野

最後にSCM。一般的な話をすると、多くの企業が、ERPだけに留まらず、調達するサプライヤーからお客様に届けるところまで、大きく見て、部分最適なシステムを導入するようになってきている。それはここ数年のポイント。情報の可視化、これを実現するために富士通では1つ事業部を作って注力している。ここをサポートするソリューションは個別の商品名として対応するものを持っている。

以上、5つのソリューション。お客様を取り巻く環境は様々あるが、今紹介したコンセプトはどこの企業も大変注目している。

それでは、今から、先ほど説明した5つのソリューションの導入事例をご紹介申し上げます。こういう事例をビデオにするのには、お客様のご協力も必要ですが、結構お金もかかる。これを置きゃ熊様にお配りして、こういうものを入れませんか?、と言う風にやる。

山下
将来企業に入ってSEになられる方多いと聞くので、SEに期待することを説明して終わりたい。

まず知識。我々営業もそうですが、業種別の体制を取っています。自分の担当する業務内容・業務知識をちゃんと把握してほしい。2つ目として、様々なお客さんからの要望が出ますが、それに対する理解力。「今言ったことなんですか?」と聞いたら怒られる。迅速な理解。もちろんIT技術に長けていること。ただし、この世界技術革新が速いので大変ですが、自分から情報を取りに行く。コンサルティング能力、システム分析力。これを常に高めていただきたい。

提案力・推進力。これからお客様から受ける作業が工数かかるのか、見積もる力。多分に富士通のSEふっかけるのが多いんですが、お客さんの予算と、我々の持っているノウハウとどこで折り合いつけるのか。プロジェクト遂行力。先ほどの(ビデオで見た)事例もそうですが、一人のSEで仕事を進めるのは不可能。プロジェクトを組んで引っ張っていく力を身につけてほしい。当たり前ですが、報告・連絡・相談。これをタイムリーに、常に、お客様に対する報連相、社内に対する報連相。ERPのところでグローバルというERPもちながら、他社のパッケージもサポートしているという話をした。自分の会社の製品を売りたいのは山々です。そうはいってもお客様のニーズは様々に変化する。他社の製品も含めてトータルなソリューションを提供していく。SEだけじゃない、営業もそうですが。

対応能力。SEが作っていくシステム。全くトラブルがないかといえば、時折システムの機嫌が悪くなり、ダウンしてしまうことも希にある。そういったときの対応スキルをSEにはもってほしい。システム作るのにいろんな関連部門が関わっているので、各々の対応部門で温度差があればお客様の不信につながる。スピードのある対応。

最後に。いろいろと偉そうなことを言いましたが、SEさんに期待するものとして、常に企業側の倫理を押しつけるのではなく、お客様の、ユーザー側の立場にたって物事を考えてほしいと思っています。お客様の相談窓口は富士通の営業SEに、と書いてありますが、「よし富士通の山下さんに相談しよう」と真っ先に思っていただけるような常日頃の行動を心がけなくてはと思っています。商売なので泥臭い面はたくさんあります。普段から特に用件もなく、お客様のところに行ってお話を聞くと課題も出てくる。これは営業もSEも同じです。お客様から見た営業の窓口は、富士通の営業なんだ、富士通のSEなんだと思われるようにしたい。ダーウィンの「種の起源」から面白い話がある。

もっとも強いものが生き残るのではなく
もっとも賢いものが生き延びるものでもない
唯一生き残るのは変化できるものだけである

営業のサービスの仕方も時代によって変わってくる。そういった状況の中でどうやって素早く回りの変化に対応していくか。

//午後//

浜松市を中心にした富士通の取り組み。浜松市の情報化計画。デモンストレーションで、今我々が開発した浜松市@市民の声を紹介したいと思います。マスコミや新聞で報道されている市町村合併の状況。浜岡町が街全体で取り組みを紹介します。

33の市町村を担当しています。市町村の自治体。静岡大学含めた文教関係。病院。CATVを担当しています。

自治体市場。浜松市に対する富士通の市場。まず、自治体を語る前に昨日e-Japanの話があったと思う。復習の意味で再度話させていただきます。小泉総理大臣がIT戦略本部の本部長。現在、2002プログラムということで6月再度目標が出た。基本的に世界最先端のIT国家をねらう。特に、民間の代表9人ということで当社の秋草社長もこのメンバーに入っております。特に富士通はIT from the Homeを提言している。ITは各家庭から、各個人からということで提言させていただいています。

進捗状況。自由かつ公正な競争環境の整備促進、と。各家庭に引き込む高速回線を380万世帯。超高速を3万世帯。常時接続が約2500円/月でサービス提供を目指している。教育とか人材の育成ということで、全部の国公立のインターネットの接続率100%を目指す。90万人の先生のITスキルを向上させる。技能講習を550万人を対象に行う。電子商取引の見直し。規制の見直し。BtoBが35兆円。行政の情報化。公共事業の電子入札。オンライン化を可能にするための法案の提示。

欠かせない2つの視点。ピラミッドの上の方が家庭、下の方の企業の革新。企業の革新なくして、IT国家はあり得ない。技術の革新、ネットワークの高度化、サーバーなどハードウェアの性能。それを実現するために各家庭国民がIT国家を実感できる環境を整える。

では何が変わるのか。住民サービスの視点からお話する。左が家庭、右が役所など公共事業団体。いわゆるワンストップ、ノンストップ。24時間いつでも、一括で。各家庭や地域のKIOSK端末。駅に置いたりして利用できる。モバイルの携帯電話やカーナビなどの利用環境に対して行政サービスや転入・転出の届け出。電力・ガスの料金の振り込み。企業サービスということでショッピング、アミューズメント。

教育・人材育成の変化。コンテンツをいろんな形態で提供する。特にWBTが移動中でも家庭でも受けられる。好きなときに、好きな時間に受けられる。

医療分野ですが、薬品メーカーから検査、支払いなど。たとえば皆さんがAという病院で検査を受けられて、ほかの市町村に住所を移したときに、その市町村でBというカルテが発生する。それをAで受けたデータが、よそに引っ越しても同じものが見られる。

e-Japanのまとめとして。私どもの東京霞ヶ関にあるe-Japanを体験できるコーナー。ここで電子社会を体験できるコーナーがある。実際ビデオをご覧いただきたいと思います。

#ビデオ視聴

ビデオでありましたように、市役所の業務は大きく2つあります。皆さんと関わりが多いフロントオフィス。フロントを受けて、市役所内で動くバックオフィスというシステムがあります。それぞれ、その中に何十ものいくつものサブシステムがあります。申告の部分。企業から調達。ものを仕入れる部分。情報公開する部分。HPを中心とした情報公開の部分。相談。企業とか市民と接する部分をフロントオフィス。行政基幹システム。右側にソリューションと書いてありますが、一番大きな自治体のシステムは住基が一番大きいシステムです。税、戸籍、証明書の交付が住民情報と呼ばれている部分です。介護・福祉。あとはそれぞれの部署に「システム」とつけてもらえればいいですが、戸籍システム、証明システムなどですね。それから給与、文書管理、生活基盤の工事、積算、水道の徴収システム、道路工事のシステム、図書館の蔵書管理、博物館、施設というので野球場やサッカー場など施設管理。あとは県税。市役所とは違いますが、静岡県では自動車税、県民税、法人税。環境の方では、ゴミ収集システム、学校教育ということで一番下に学習とか教員。皆さんも卒業されてSE希望の方いらっしゃると思いますが、こういったシステムの運用、お客様と一緒に開発。

自治体における富士通のソリューション・取り組みです。InterCommunity21という名前です。"IT from the Home"のコンセプトにたって、市民の立場にたったシステムを作るのを基本にしています。e-Japan仕様の取り組みということで、このシェアではナンバーワン。国の仕様に沿って開発している。次に、住民の視点に基づいた行政ニーズ。人にやさしい、誰でもつかえるシステムの開発。3番目、国内外。海外でも当社の実績はありますが、ノウハウを日本の国内にも提供する。トップシェアの実績と、最先端技術の提供。DMR、ICL、海外の電子政府の構築ノウハウ。今いろんな自治たちでは既存のシステムがある。それを入れ替えるのではなく、既存のシステムと連携しながら事務改革を行っていく。そして、最新テクノロジの適用。ブロードバンドインターネットなどの導入。

住民の視点にたった行政サービスということで「いつでも、どこでも、誰でも、1回の手続きで」と。自宅で住民票を入手したり、そういった形で一つのサービスで。ワンストップ。

海外でも実績があります。特にイギリスのニューキャッスル市役所。世界各国でも富士通は取り組んでいます。グローバルな連携。

『楽しい』『便利』『安心』をテーマに。娯楽・快適ライフ、教育、EC/行政、医療、と。どこでも、誰でも使える。たとえば、ひとつのパソコンでどんな処理でも出来るというのが大きなコンセプト。

#富士通の具体的なソリューション・ソフトウェアの名前の紹介

お客様のシステムを開発・運用するプロセスです(図)。左から企画・コンサルティング、実際にお客さんの用件が固まったらシステムの設計、設計が終わったら開発、開発が終わったら実際にお客さんのところに導入して、運用・保守。それぞれSEとしてはこういう行程が必要になっています。プロジェクトということで共同で推進していく形になっています。

最近ICカードが出てきた。これはいわゆる1枚のカードに自分の病歴や住所等々を入れ込む。それを読み込むためのConbrio-J。電子相談窓口であるソフトウェアWebcounter。後は職員と書いてありますが、役所の方向けの新商品。IPKnowledge。

(休憩15分)

富士通の製品i-Cityの紹介

浜松市は5年に一度情報化政策を公開している
平成13年度にシステムの概要を公表している

浜松市は人口50万人、県内No1
市役所には20の部、114の課、281の係、これは全国でも最大規模
会計予算は1865億円

具体的に浜松市の情報化、コンピュータ化はどうなるのかがすライドにある。

フロントシステムとバックシステムがある。その両方を情報化する。
具体的に、市民サービスの工場を図るためのシステムで、下に3つの推進項目がある。
窓口を一本化している。それの充実。市民サービスセンターと本庁、市役所を電話回線でつないで、テレビ会議をしている。今後は電子申請などを開発しようということになっている。

静岡県西部33市町村で、広域な行政サービスシステムを整備する。浜松の人が、浜北で住民票が取れる。今後は戸籍謄本などもそうなっていくと思う。
今は図書館を回線でつないで、蔵書の検索ができるが、今度は施設予約もできるようにしていく。これは電話だけでなく、ネットからできるようしてゆく。

市民参画型情報システムの整備。平成9年から公開のHPを立ち上げている。これが、市民の声、ということで、情報発信だけではなく、市民の声を集めるような、双方向の接続になっている。それと、防災情報など、市民参画型のHPにする。
それから地域ポータルサイト、今は楽器博物館やフラワーパークなどが連携しているが、これを広げて、一つのページでいろんなものが検索できるようになる。
教育ネットワーク市内に教育ネットワークを作る。市内の全小中学校をネットワークでつなぐという計画がある。小学校には、全部インターネット接続環境をそろえる。
浜松ケーブルテレビがあるが、その線を利用して、各家庭にネットワークを広げようという話がある。10Mという高速回線でサービスを充実させる。

庁内情報の共有化、これはバックエンドシステムになるが、浜松はホストコンピュータを使って整備していたが、今後は、職員にパソコンを配ってグループウェアなどの利用が主になる。システム化されていない業務を整備していく。財務や福祉などは今後ソフトを作り変える。
総合地図情報システム、消防システムを地図上に出すようなものを整備する。
庁内NWの高速化。今、庁内には、100Mで整備している。そこからぶら下がるものに対しても10M程度のNWを作る
職員の育成、職員をどう教育してゆくか、ソフトウェアの教育。
コンピュータセキュリティと個人情報保護対策。そういう風な計画。

市役所から、こういう要望が出てきている。われわれ営業とSEはこれに対して、どういう提案をしてゆくかという作業がある。メーカーは富士通だけではない、コンペティターがいる。そんな中でどういう提案をするのかを営業としては考えないといけない。

まとめに入っていきます。
93年にワンストップサービス、これは全国でも一番早いくらいだと思うが、こういう整備。浜松ホトニクスがあるが、こういった光ネットワークを利用して、最先端のインフラを整備する。

浜松市民の声システム。
機密につき記録は控えます。
市民からの質問などを、たらいまわしにすることなく、担当者のスキルに縛られることなく、きちんと回答ができるようにするシステム。

従来システムとの画面を比較すると、問い合わせる場所がわかりやすくなっている。

SEと一緒に営業して、これを富士通が勝ち取ったわけですが、
浜松システム化のきっかけとしては、職員の知識不足や、視聴宛のご意見箱件数が激増したということで、サービスの低下が見られるので、ここを何とかしたいということでした。
そこで、富士通の人事総務サービスセンターを視察にこられて、評価をいただいたということです。

今、ホームページは問い合わせだけで、まだバックシステムとの連携はできていません、フロントシステムだけですが、今後バックシステムとの連携をしようと思っている。今あるものをお見せします。

ご参考までに、市町村の合併についてお話します。静岡県西部は33市町村ある。実際には、これが7市に合併される予定。特に浜松市。浜名湖市構想がある。14の市町村が合併するという構想。あとは磐田を中心とした合併など。
具体的に浜名湖市構想について、国から指定された期限が、平成17年の4月。浜名湖氏は17年の3月に合併される予定。人口は85万人。これもやはり県内トップになる。今のところ、北部の町村は合併しないのでは、といわれている。まだわからない。浜名湖市浜松区、という風になるのではと思う。
磐南は16万人くらいになる予定。
今のが富士通の取り組みです。

もうひとつ事例として、浜岡町が推進しているケーブルテレビをご紹介します。ご存知のとおり、原子力発電所があるので、国からの補助金が下りている。これを利用して、全世帯、約6700軒に町がケーブルテレビの線を引いている。これを工事から設備まですべて当社で行いました。予算は全30億円くらいです。
番組放送以外にも、電話サービスもやっている。浜岡町内は電話ファックスはただ。
公共施設もすべて線で結んでいる。

私の座右の銘、これで20年間やってきた。お客様からお金をもらい、なおかつ会社からサラリーをもらっている。


このページは,2002年に静岡大学情報学部において行われた集中講義・情報学特別講義IIIの記録です。著作権は講師(発言者)に所属します。