開催概要
日時:2003年11月8日(土)14:45〜15:45
場所:情報学部2号館二階CALL教室
講師:情報社会学科堀田龍也助教授
高校生:「情報学部オープンキャンパス」の参加者19名
はじめのあいさつ(荒川学科長)
司会(堀内)
皆さん,今日は模擬授業に参加していただきありがとうございます。授業をしていただくのは情報社会学科の堀田先生です。堀田先生の専門は情報教育,わかりやすい授業で,学生からも非常に評価の高い先生です。ではよろしくお願いします。
キーボード練習
堀田
皆さんこんにちは。堀田です。さっそくですが最初に,今パソコンの画面に映っている「キーボー島アドベンチャー」というキーボード入力練習サイトに挑戦してみましょう。画面の真ん中あたりにログインすると書いてありますね。こういうときの確認には,必ずパスワードが使われますよね。皆さんには,特別に用意したゲスト用のIDとパスワードを使ってもらいます。これから配布します。半角英数文字で入力してください。(教室のPCでキーボー島デモサイトにアクセス)キャラクターをえらんで,画面に地図が出たら待っていて下さい。

地図の,赤く点滅している所を叩くと(キーボード入力のゲームが)始まります。10分ほど時間をあげます。30級からやってみましょう。
(高校生はみな,キーボード入力の試合に熱中,一気に21級まで進んだ人も。)
さて,このサイトは,誰向けに作られたものでしょう?
書いてありますね。「全国小学生キーボード検定サイト」となっています。このサイトは,小学生向けに作られたキーボード入力学習のサイトです。みんな,熱中してやってましたね。どう思いましたか?
高校生
「自分たちがやっていても楽しいし,小学生はなおさら熱中してやると思います」
「小学生にも親しみやすくて,効果があると思います」
堀田
小学生にキーボード入力が必要だと思いますか?
高校生
「これからの社会では,必要になると思います。」
「高校で情報と言う科目が始まったりしているし,必要な事だと思います」
堀田
すばらしい,そういう時代ですね。
では,これを開発した人は,どんな思いで開発したのでしょうか? 先ほどサイトのトップページに戻ってください「キーボー島マガジン」というのがありますね。そこをクリックすると一番下に,開発者の考え方が載っています。読んでみてください。
(高校生,キーボー島マガジン Vol. 0「プロジェクトリーダーが語る 全国小学生キーボード検定サイトの意味」の記事を読む)
この記事で取り上げられている人,どこかで見たことありますね(笑)・・・。実は僕がプロジェクトリーダーです。オープン2ヶ月のサイトですが,すでに全国から30,000人が利用しています。
それはさておき,小学生のうちから,メディアに親しむことが必要な時代です。今や,メディアと私たちの生活は切り離せません。
メディアとは何か
ところで,みなさんの周りには,どんな「メディア」がありますか?そこにある紙に箇条書してください。
(高校生,紙に記入)
そろそろいいですか。では,一人1つずつ言って下さい。
高校生
「新聞?」
堀田
本当に新聞は「メディア」でしょうか?・・・そうですね,正しいですね。では,次の人。
高校生
「インターネット」「電光表示板」「テレビ」「看板」「チャット」「回覧版」「携帯電話」「ビデオ」(その他複数)
堀田
たくさんでましたね。ではこれらを参考にして,皆さん辞書になったつもりで書いてください。「メディア」とは,ズバリ何でしょう? 「・・・をメディアと言う」という感じで,紙に書いてみて下さい。
(高校生,紙に記入)
では,読んでもらいましょう。
先に言っておきますが「メディア」の定義なんてのは,大学の研究者でも意見が分かれているぐらい難しいものなんです。学科長がおっしゃっていましたが,はっきりしてないからこそ学問は面白いんです。気にせず,思った事を言ってください。
高校生
「不特定多数の人に対して情報を与えるもの」
「一般大衆に一方向の情報を与えるもの」
「そのものから情報が得られるもの」
「何らかの媒体や方法を通して,世間に情報を与えるもの」
堀田
媒体,難しい言葉が出ましたね。
沢山の人に情報を伝えると言う意味と,一方向だという意見がありましたね。どちらもはずれてはいないんです。
メディアと一口に言っても「マス・メディア」「パーソナル・メディア」がある。マス・メディアは不特定多数が対象,パーソナル・メディアは個人対個人で使うもの。
先ほど皆さんがあげたものと照らし合わせてみましょう。携帯電話,はどうでしょう,いっせいに同じ内容をたくさんの人に送る迷惑メールなんかの使い方はマス・メディアにあたるかもしれませんが,電話する時は違いますよね,一対一です。不特定多数とは話しません。
ビデオはどうでしょう。店ではビデオテープが不特定多数に対して売られていますが,見るとき,楽しむ時は一人ですよね。だから,これはパーソナル・メディアです。

じゃあインターネットはどちらか?
これが微妙な問題なんです。マス・メディアっぽく情報を見ることもできるし,パーソナルのように自ら情報を書き込んで発信する事もできます。
ではここで,辞書の定義を見てみましょう。三省堂「デイリー新語辞典」には,次のように載っています。(スライドの内容)
(1)手段。方法。媒体。
特に,新聞・テレビ・ラジオなどの情報媒体。
(2)情報を保存する外部記憶装置の媒体。
磁気ディスク・MOディスクなど。
(3)情報を頒布する手段。
コンピューターの分野では,(2)のメディアに加え,通信回線などが利用される。
さきほど出てきた「媒体」という言葉もありますね。情報媒体,なんてよくわからない言葉なんですが,「メディア」は,「情報」を送るためのものです。情報の「送り手」と「受け手」の間に入って,なかだちをするんですね。
では,みなさんが挙げてくれたメディアは,誰が,誰に,情報を送っているのでしょうか?
「送り手」と「受け手」に分けて考えてみて下さい。
(高校生,考える)
例えば,看板,なんてのはどうでしょう。「受け手」は看板を見た人,あたりまえですね。では「送り手」はどうでしょう?看板をかいた人,デザインした人,また,看板を書くよう依頼した人も「送り手」です。複数いますね。
では「送り手」について考えてみましょう。これまで,プロの送り手だけが持っていた技術があります。これからは,私たちが身につけていなければいけません。では,私たちは,メディアのプロのことを,どれだけ知っているでしょうか。ビデオを見てみましょう。
(ビデオ:NHK教育「体験!メディアのABC」 組写真の回,メディアのプロのコーナーを視聴・5分間内容は,ソフトボールの専門誌のライターの仕事振りを紹介している。)
堀田
さて,質問ですが,このライターは,どうして360枚もある写真の全部を使わないで,11枚の写真だけで記事を作ったんでしょう?
高校生
「読んでいる人に,試合の様子がわかるように・・・だと思います」
堀田
そうですね。なにより,3ページに360枚も収まりませんしね。同じような写真もたくさんありますし。
これまで言ってきたように,メディアは情報を伝えます。そして,メディアのプロは,情報をうまく伝えるために工夫をしています。メディアに乗っかった情報は,事実です。しかし,事実の全部ではありません。さっきの(ビデオにあったソフトボールの)試合でも,ピッチャーが一生懸命投げていましたが,レフトはあくびしていたかもしれない。カメラのフレームの外の事はわからないんですね。
プロのその技術は,これから私たちにも必要になるものです。なぜなら,メディアの操作が簡単になり,私たちにも使えるからです。例えば,ホームページを作る操作は簡単になり,マスターしやすくなります。これは同時に危険な事でもあります。
情報を発信する人の責任感も大切です。「メディアを使いこなす」というのは,操作の上達ではありません。ほんとうに大事なことは,何を伝えるためにどう載せるかです。わかりやすい構成の仕方というものがあります。
情報社会学科で学ぶこと
情報社会学科では,メディアの特色や,社会の変化について学びます。ほとんどの先生方は文系出身です。学科長がおっしゃったように,やっていることはわかりにくいって言われます。高校の先生にも,歴史もやって,地理もやって,経済もやって,いったい何をやっているんだ,ってよく言われます。でも,やっていることは1つなんです。どの先生も,メディアが現実の社会に与える影響について研究し,現実の問題を解決しているんです。

この図,情報科学科と情報社会学科があります。皆さんがもし情報社会学科にはいってくれたら,情報システムを使って現実社会の問題を解決するための勉強をすることになります。その情報システムの基礎,技術的なところは情報科学科がやっていると考えてくださって結構です。どちらも大事なんです。
では最後に,紙に感想を書いて,アンケート調査と一緒に出して下さい。お疲れ様でした。
受講者の感想
S県F高校 Uさん
「講義が難しいのではないかと心配していましたが,とてもわかりやすく,学科の特色などがよくわかりました。」N県S高校 Tさん
「普段何げなく使っている"メディア"という言葉について考えてみると,意外に私たちの周りにはたくさんの"メディア"があることがわかった。
一時間という短い時間の中で,情報というものがどんなものか,またメディアとは何かについて触れる事が出来て良かった。」S県T高校 Kさん
「今回模擬授業に参加して,メディアについて改めてその定義の難しさを知ると同時に,深く学びたいと言う気持ちが強まった。これからの社会において,情報と言うものは何事にも欠かせなくなると思うので,できれば静岡大学情報学部情報社会学科に入学し,学びたいと思っています。」