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公開検討会:私の実践研究をばっさり斬って下さい
報告者:向井康之
聞き手:堀田龍也
指定討論者:山内祐平・小柳和喜雄

向井
よろしくおねがいします

子どもが表現する力を適切に伸ばしていくために有効な教師の手だてについてお話します。ここでいう伝える力を適切に伸ばしていくということは,相手意識を持って,表現方法を工夫して地震を持って伝えることができるようになることということにしている。

はじめにビデオを見てください。

(子どもが発表している様子)

これは学習の初期,1回目の発表の様子,原稿を見ながらたどたどしくしゃべっている。ただ,一生懸命調べただけで満足していて,相手に分かってもらおうという気持ちはまだない。

次は11月の映像

(子どもが発表している様子)

これはいいかどうかは別として,相手を意識して自信たっぷりに表現している。子どもたちは最初は自信が無く話していたが,学習が進むにつれて,相手を意識し工夫しながら発表している姿が見られるようになった。

今回,伝える力を伸ばすためにはどんな手だてが有効か,自分の実践を分析したい方法として,意図的に仕組んだ指導を時系列にリストアップした。子どもたちの書いた自分の高まりを紹介する新聞やワークシートから学んだことをどのように意識しているか調べる。

意図的に仕組んだ手だての時系列。表を見てほしいがだいたい4段階に分かれている。課題へのこだわりを深める段階,高めたい力の明確化,相手を意識した発表の繰り返し,振り返り。この段階の中に,適時ワークシートを使っている。最初は自由に記録できるワークシート,高めたい力を意識したワークシート,相互評価を意識したワークシート。

具体的な中身は。課題へのこだわりの段階では,調べ学習が主なので,自分で思ったことを自由に書き取るようなワークシートを利用している。日付テーマ内容のみ。調べていることだけで満足してしまって,終わったと思っている段階で,高めたい力というものを皆に提起して話し合いました。話し合ったものをまとめて表にして,まとめたものをファイルの最初に挟み込んだ。

ワークシートも,見つける,計画する,関わる,まとめる,ふりかえる,という風に,最表にまとめたような項目に対応して意識して書かせるようにした。発表会を何度も行った。最初は学級グループ,学年,保護者と4回ほど発表会をしている。ワークシートもプレゼンスキルを高めるような観点のものを利用している。相互評価をしている。後半になると分かりやすかったとか,そういう言葉が書いてあり,最後には自信たっぷりに発表できるようになった。チェックポイントを明確にしながら経験をつんだことによって,評価も良くて自信たっぷりに発表できるようになった。

振り返りの場面,自分たちの高まった力を振り返る新聞を作った。3学期はどうしたらいいか,黒板に張って見合いっこ。中にはグラフで表現する子がたくさん現れた。新聞を良く見ると,ただ分かりやすく伝える力ということではなく,自信を持って伝えることができるようになったということが読み取れる。

キーワードをカウントして見ると,調べる,伝える,まとめる,という力が高まったことが読み取れる。

振り返りシートから,どうして高まったかということを聞いたら,評価に関することを書いていて,教師の計画的な手だてとして,子どもが自分の力の高まりを自覚することができるようにすることが有効であると考えられる。

高まった力を意識しながら活動をさせる。それぞれの活動にあわせて高めたい力にフォーカスしたワークシートや評価カードに替えている。それによって子どもが高めたい力を自覚するということが重要という話でした。


堀田
要するに何が言いたい?

向井
子どもが表現する力というのはクラスの中で高まっているんですね。それがなぜ高まったか。自分が自覚する場面を作るということが重要だと言いたい。

堀田
高まったというのは授業していれば分かる,でも見た人しか分からない。保護者はわからないし,子どももわからないかもしれない。
子どもたちを高めようとしていたときは,教師は自分でどのくらい意識していたか。

向井
今振り返ると無意識的にやっている部分もある

堀田
割合は?

向井
50%あるかないか

堀田
僕は向井さんのことを知っているから,もうちょっとあるんじゃないかと思う,向井さんは放牧系の実践家だと思う先生。
今回,胃の痛い年末年始をすごしてもらった。連帯責任で富山チームは集まって何度も分析したようだ。そのときの論点を高橋に。

高橋(富山)
年末年始をまたいで会議を数回やって,向井先生はその間ずっと悩んでいたと思う。論点というか,一番困ったことは,とにかく,実践が上手くいったことの証明をしたがってしまうということ。でもこういうところで発表するときに,実践が上手く行ったのは当然であって,上手くいくためにどういう手だてが有効だったかということが重要になるよね,と思ったけれど,かといって切り取り方が難しい。

堀田
上手くいくのはプロなので当たり前ですね。

高橋(富山)
上手くいっているので,向井先生は学校に来れば分かる,くらいのことを言っていた。有効な手だてを自分で振り返ることで明日の役に立つと,手だてと,どうしてそれが有効だったのかということに絞ろうと。

堀田
向井さんは無意識,多くの場合そう。それを意識的にやったらもっと効率的になる。やっている最中に本人はどのくらい見ているか。自分がどのくらいやったかを実感していると次のために自覚的になれる,そうなるということですね。

研究にするときのポイントを指摘してもらいましょう。

小柳
あけましておめでとうございます。

論文化するときにどうしたらいいか,ということでいくつか。どっちのタイプかということをはっきりさせたほうがいいと思っている。この報告は探索的。検証することがややあいまいな形であり,それを上手く発見していくのが探索的なのものか,有効になっているかどうかということを確かめる検証的なものか。報告全体を大きく見ると探索的にされている,だとすれば文章を書く段階で探索的であるということには触れたほうがいい

堀田
どういう風に有効かを探っている段階かということが探索的,有効そうなことが分かっていてそれを確かめるというのが検証的ということ,それによって書き方が変わるということですか。

小柳
そうです。この場合多少探索の色が濃くて検証もあるかもしれないが,探索的。大きく位置づけをしてしまったほうがいい。あとクラス全体に当てはめているが,最終的に目指すものをもう少しはっきり持ったほうがいい。今のままでは目標が非常に複雑になってきている。それを分割してからクラス全体じゃなくて,この子には効くけれどこの子には効かないとか,こういう子にはこの手だてから入れるとか,そういうポジションを発揮させらたらいい。

堀田
風邪の症状に対して,食えばいい寝ればいいとかそういうレベルの話で,症状別の手だてに分けるのが目標でないかと

小柳
そうです,そうじゃないと限定できずにごちゃごちゃしている。最終的にここをするということをして,論文としては3回くらいに分けたほうがいい。

堀田
一足飛びには行かないと

小柳
そう思います。今回のポイントは手だての組織化,3つの手だてがどうしてその順番かと,そういうことも示さないといけない。この子達になっているけれど,この子と絞って変化を示すようなことも必要。

高まったと自覚した,表現した,高まったとしているが,先生は判断を示していない。それを示す必要がある。ワークシートの文字数が増えたとか,書き方をポイントにして先生の目指すところが3つくらい増えたとか,そういった証拠を示していくと,それが聞いたのかがわかる,しかもその順番もわかる。

手だての有効性を示すには,特定の子に着目する,ベースラインを示す,確定させて手だてを打ったら,その前後がどう変わるかを文字数とか発言とか,そういうことを示して手だてが有効かどうかを見ると。

書き方の点ですが,目的,今日書いていただいた資料ですが,目的と結論の整合性に注意したほうがいい。手だてが有効であるかと書いてあるので見ると,結論が手だてと手だての関係性の話になっている。

堀田
今回は手だてが有効化なんて目的がでかすぎるということですね。

小柳
目的と方法も整合性を取ったほうがいい。この手だてを講じるとこうだったことがこうなるという手続きを示す必要がある。方法1はいい。方法2は,新聞やワークシートで手だての前後でどうなったかを見る必要がある。最後どうなったかだけではなく。ビデオについても前後が必要だし,ビデオで何を見るのかということが重要。

堀田
目的を明確にしないと検証の方法もできないんですね。

山内
小柳先生とちょっと分担しました。全体の構造は小柳さんのいったとおり,私がこだわりたいのは,子どもが表現する力をという部分,そこがポイントだと思っている。
研究って基本的には2つだけ,2つのことが書けていればいいと思う。やりたいことをきちんと伝えているか,やったことを相手に納得させているかどうか。

僕らはレジュメを配られてどこをまずみるか,目標をみる。その次に結論を見る,方法も見ますが。結論に対してはたいていの場合,本当かな?と思って見ている。これは重要。本当かな?と思っている人を納得させる。

目標には相手を意識しながら表現方法を工夫して自信をもって伝えると書いてある。多いなと思った。目標が複数あって関係がよくわからない。相手を意識しながらって難しい,大学生でもできない,学校の先生でもできない。相手の状態を絶えず気にしながら自分の出方をどうするか決めるという極めて高度な認知的な活動が求められる。表現方法を工夫してというのは簡単なスキルの部分。自信を持ってというのは情意機能ですね。3つもあるのは大変だなと思った。

われわれはひとつしか書かない。上手な方は,実践にはたくさん目標があって,この実践もそうだと思いますが,見せるときに1つしか見せない。3つあるというのが大きい問題をもたらしている。

もうひとつ思ったのは,なんでこういう力がいるのかということが書いてない,こういうことが必要だと感じたのだと思うが,必ずしも前提条件を共有してないのでもう少しなぜ必要かを書いた方がいい。

致命的なのはここ,全く納得できなかった。子どもが自分ができるようになったといったらできているのか,自己評価は大事なのはわかる。自己評価が高くなっているということは,客観的といっていいか分からないが,妥当性がある能力の高まりがあると思うが,それでも堀田先生みたいな洗脳能力の高い人なら思い込ませることは簡単ですよ,皆さん知っているでしょう。

教育社会学で言われることですが,先生を喜ばせるために子どもが行っているかもしれない,先生がそういう風に思っていれば,子どもはそれを書くでしょう。でもそれで高まったかどうかということはそれはそれで別に評価しないといけない。

子どもたちが書いたものを分析したと言われているが,どうやって調べられましたか?
ビデオから見る?ってどうやってやりました?

向井
新聞とかワークシートとか,文章の中に高まった力といっているが,そこに相手のことを考えて話ができるようになったとか,表情とか,声の大きさを考えたとか,そういう具体を見て判断した。

山内
いっぱいある中でひとつが書かれていたらできるということになったということですか。
何らかの指標を元に数値化するとか,量的に見ていないと皆が納得できないですよね。それでも自己評価の域は出ませんが,客観的にはかる方法が必要。ビデオに関しては?

向井
ビデオは研究授業の時にとったものなので,前半は原稿を見ていたという様子だけを見ました。

山内
やはり何かに変換しているわけではないですね。先生はいつも見ていて,先生はそれを再確認しただけ,しかし見ているこっちには分からない。なのでこれは方法とは言わない。方法には再現可能な手続きが必要。別の人でも同じことをやったら同じ結果が出るだろうという,手続きが示されて,方法の段階ではある意味で奴隷にならないといけない。何をやったかがわからないと方法にならない。質的データでも,こういう手続きでやってという道筋が見えないといけない。そうしないと恣意的になって,それじゃ研究じゃないという話になっている

結局目標が決められないからそこが上手くいかない,循環している。最初に目標をきっちり決めて,相手意識とはどういうことかと決め手で,それをどうはかるというそういう話になったほうがいい。

堀田
かなり専門的な話になった。僕らは研究者なので,領域は違っても指摘できる点はほぼ同じです。

観点が明確でなかったのは確かにそうだったと思います。一方で自分の力が高まったか新聞とか,ちょっと次にやってみようかという手だてはあった。次の実践はこういう風にできるといい。いい実践をしたとさあ論文だと思っても手遅れということですね。


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