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テクニカルライティングとは?
パラグラフライティング


パラグラフとは,段落と考えてくれればいい。大切なのは,パラグラフが主題文と指示文からなること。さっきのマウスのクリックの話だが,主題文は「ほとんどのパソコン用語は英語でできている」で,それを詳しく説明するために「マウスのクリックを出して・・・」理由や具体例を挙げたのが支持文。

主題文−一番伝えたい意見や考え方を述べる文
指示文−主題文を詳しく説明する文,具体例などを挙げる。

パラグラフのパターンはいくつかあります。分類,列挙,比較,意見と理由,具体例など(資料参照)

今回の資料は,それぞれのパターンの悪い例と修正例,練習問題からなっている。文教大学では一時間でひとつ説明して練習するのがやっとですね。練習問題やっているうちに,時間が終わって,次の時間答えあわせと解説をしてます。

分類列挙のパターンですが,「インデント設定方法について説明する」という文(P35)です。悪い例では最後まで読まないと,インデントを設定する方法がわからないんですね。

修正例では,主題文を「インデントを設定するには,3通りある。」としてます。これを図で説明すると,主題文がまず来て,1つ目の方法,2つ目の方法,3つ目の方法と列挙し,ついで詳しく説明している。

文章は,言いたいこと(主題文)を最初にもってきます。冒頭で,3通りあることを言うと,読み手が「3つ説明がくるな」と心の準備ができる。頭の中で,さっきの図がイメージできますね。

そうは言っても,上記のような悪い例は結構あるんですよね。

堀田
ウチの研究室でみられます

会社でも良くありますね。あるプロジェクトが上手くいかないときに,・・・が無くて・・・が足りなくて・・・って聞いてるこっちもどうなるんだろうと不安になります。賢く逃げるには,問題点を先に述べることです。そうすると,お利口そうに聞こえます。

練習問題をやりましょう。「練習2 ごみの種類について説明しよう」

では解答例。「ごみは,3種類に分かれます・・・。1つ目は・・・。2つ目は・・・。3つ目は・・・。」大体同じようになると思います。文教大学でやったときも同じようになります。 

(質問)
リサイクルできるかどうかが重要ではないでしょうか?

ちょっと読んでくれますか?少し複雑かな。聞いただけなので,まだわかりませんが,構造が浮かぶかというとそうでもないような・・・。

次は具体例のパターン。「最近の教育ソフトについて説明する」(P37)。主題文1を裏打ちされる具体例を入れるパターンです。悪い例は機能かわからない。具体性に欠けます。主題文を裏打ちする具体例が必要です。例えば・・・・画面上の具体の特性など。

ローマ字入力を説明する練習問題ですが,ローマ字入力は説明が非常に難しい機能です。「ローマ字に置き換えて入力します」というだけではなくて,SA,SHIなどの具体例を入れる必要があります。コンピュータの説明の場合,具体例をだすことが必要です。

バリアフリーについての練習問題ですが,学生にやらせると,だいたい具体例が抜け落ちます。パソコンのある教室で,インターネットでバリアフリーについて調べながら問題をやるんですが,取り上げる例がシャンプーのボトルなら,ギザギザのことしか言わない。それがあったからどうなのか,なんでそれが必要なのか,まで書かない。

特徴だけではわからなくてどうしてそれが必要なのかを書く必要があります。具体例をあげたとき,どんな特徴があって,それがあることによってどんなメリットがあるのか。

学生にやらせると,現状の問題点と製品の特徴と,メリットと,書く順番に悩むようですが,要素が全て入っていれば,順番はあまり関係なくなるような気がします。ただ,学生に具体例から探させるのが本当に大変。

文教大学での私の授業では,理解度チェックシートを書かせています。講義はわかったか,演習ができたか。学生の質問や意見がよかったので紹介します。

「具体例を入れるか,入れないかで文章の印象がまったく違う。どんなメリットがあるかという例があると説得力がある。」

具体例が書けないのは,材料の収集の仕方が悪いからです。ぽっと頭に浮かんだことだけで欠けるわけがない。いまHTMLの本を書いてますが,勉強している時間の方が長いですね。

具体例の書き方の極意をお伝えします。
特に学生さん。インプットなくしてアウトプットはありえないということ。中身が無いから書けないんです。インターネット,専門書,専門雑誌。専門雑誌はちょっと探せば必ずあります。あと用語辞典,これも各分野ごとに必ずあります。あとは取材。まともな文章を書こうと思ったら,自分で取材する方法もあります。そうすると,山ほど材料が集まります。そしたら材料をよ〜く吟味してください。

どう吟味するかというと,主題文にあった具体例を選ぶということ,当然ですね。それから,イメージしやすい具体例を選ぶ。前に,福祉の施設に取材に行ったとき,パソコンの入力機器を工夫すると,障害を持った人でも入力できることを知ったのですが。その機器が,大きなボードに丸いボタンがついているもの,これがマウスの代わりになるわけです。

これを使って,PCが使えるというのはいいことだけど,文章で説明できない。

あと,複雑な具体例は避けるということ,ローマ字入力で取り上げる具体例では,「HEISEI」でなくてもいいわけですが,例えば「NIHONN」だとNNがイレギュラーになる,「TOUKYOU」促音など複雑な例だと,具体例に疑問を抱かせてしまうので,具体例はよく吟味してください。

具体例の構成ですが,バリアフリーの例では,現状の問題点,特徴,メリットを書くことでわかりやすくなるが,主題文によって具体例の構成が変わります。ローマ字入力を扱うときでは違います。

主題文によって,どうやったら読み手がわかりやすくなるかを考えたほうがいいです。迷ったときは,複数の具体例を書くことをお勧めします。書くことによって必要な構成がわかることがあります。文章は多めに書いて削るのが文章作成の基本です。学生さんは行数増やすためにいろいろやりますがあれはダメ。多めに書いて削ってください。

パソコンは清書するための道具ではないです。考えるための道具です。思いついたことを入力してください,とにかく入力すれば,書くことで考えがまとまっていきます。

「これ以上考えられない」とか,「頭が疲れた」とか言う人がいるが,私に言わせれば甘いです。学生には,「考えることを諦めずに,考え抜け」と言っています。

具体例はいくつ挙げれば良いのか?という質問がありますが,これは全くケースバイケース。複数列挙する場合は,主題文を強調したいとき,具体例のタイプが異なるときです。バリアフリーに関して言えば,シャンプーのギザギザと,階段のスロープではタイプが違います。あとは,ひとつではイメージが湧かない時もそうですね。

具体例のパターンは以上です。次に比較のパターンです。

比較の文章は難しいです。要因が複数絡み合います。「化粧品の販売方法の比較」P39,P40。化粧品の販売形態には対面販売がありますね。もうひとつは通信販売。もうひとつは訪問販売。これは販売形態について説明する文章です。

悪い例は誤解を招きます。A社とB社が違うと言うことを明確に述べなければなりません。B社のことを言っているのに,A社のことを説明しているように見えます。

比較の文章は難しいです。こういう風に言うと,ある程度意識して書くので,簡単に思えますが,実際に文章書いていると,比較しなければならないのに,だらだらと流してしまっているような文になりがちです。骨格がはっきりしてないような文章になってしまう。きちんと比較するような文章を書く必要があります。

もう時間が無いですね。

質問等あれば・・・

質問
パラグラフを意識してアウトラインを書いていますが,パラグラフの構造が破綻してしまいます。何か,極意はありますか?

解答
情報をどのように整理しているか。整理していますか?情報の整理をしてください。MS-Wordのアウトライン機能なら,レベル1に主題文を書いて,レベル2に具体例を書くという方法が取れますね?こうやって入れ替えてみたり。

質問
機能別索引をつけた場合と,目的別索引をつけた場合で,行き先はどうなるんでしょうか?○○をするには,とやると,ページがあちこちに飛びます。

解答
とても難しいですね。リファレンスに目的別索引するのは大変難しいです。飛ぶということは,マニュアル自体がそういう構造になっているわけですね?

マニュアルのトレンドとして,初心者向けとそれ以外に分ける手法がとられていて,初心者向けの自習書みたいなのをつけます。それで一通り学んで,次に,リファレンスを見るということです。自習書のページは,少なくします。30ページくらい。機能を厳選して,道筋を作ってあげないといけません。


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