講師
高橋純先生
富山大学講師教育学部教育情報システム


講師紹介

堀田
高橋先生はこないだ博士号をとられました。とったのはインタフェイスです。授業でしゃべってもらおうという企画。みんなは分かりやすさについてディスカッションした後ずっとやってきた。わかりやすい文章には文章のセオリーがあった。インタフェイスには分かりやすくするセオリーがあります。いろいろ演習してもらったりするので,そのときはがんばってください。

わかりやすいインタフェイス

高橋
おはようございます。富山大学の高橋です。僕は情報学部にしょっちゅう来ている。この校舎が出来たときにも来たことがある。すごい環境で校舎が白くて。いいところで勉強できていいなぁと。堀田先生はいろいろ有名な人で各専門の人を呼んで,皆さんもいろんな話が聞けていいなぁ,と。

高橋
わかりやすいインタフェイスと。わかりやすいことも重要ですが,使えることが重要ですので,まあ読み替えて「使いやすい」としました。使いやすいインタフェイスと出ていますが少し例をお見せしたいと思います。これは切符を売る機械です。皆さん静岡出身ですか?(学生挙手。それほどいない。)国立大学は多様ですね。これは,新型の機械の2番目ものです。これの大きな特徴は液晶のディスプレイがついていること。液晶ディスプレイで使いやすさ,分かりやすさを出しています。今は液晶の券売機が当たり前ですが,これが出た頃は非常に珍しかったと思います。液晶を使った理由はいくつかあります。どういうところが分かりやすかったり,使いやすいと思いますか?

学生
タッチパネル式のものを採用したということで,たぶん行き先の表示されているのが出る。普通は路線図で値段探さないといけないけど,行き先を押せば値段が表示されるのかなと。

高橋
僕のいうメリットというのは,残念ながらそこまでいってませんが,この切符のところは近距離の1000円くらいだったのが新幹線や特急や回数券や定期券も買えるようになった。機能が増えたので1つ1つのボタンでは対応できなくなったと。JRにとってもメリットが出ました。どんなことだと思いますか?

学生
まず,液晶だとボタン固定とちがって保守が簡単。ソフトウェアで表示変えたり,間違いがあってもすべて対応できたり。

高橋
表示を書きかえるときってどんなとき?

学生
お客から苦情があったとき。料金の変更があったとき。

高橋
実はJRはしょっちゅう値上がりしてて,料金の体系が変わったときに昔は券売機のシールのはり替えをしていた。液晶ディスプレイならプログラムを書き換えるだけ。東京では新しい路線が出来ていて,相互乗り入れ,新線開発で非常に複雑な切符を売らないといけない。実はこれで6,7年前導入されるとき試験的にある駅だけ試しに使ってみて,お客さんの意見を受けてフィードバックするのが使いやすい機械を作ることをしてみました。そのときに苦情が来ました。主にハンディキャップをもっている人の団体からきました。どんなことか分かりますか?

学生
…思いつかないです。

高橋
いつも僕たちは健康なのでハンディキャップをもった人たちの気持ちは分かりにくいですね。これは目の悪い人たちの団体から言われました。タッチパネル式はいろんな報道とか資料を見ると,目の悪い人はまったく見えないわけじゃないですから,よく近づいて指でたどりながら値段を見ていくと。タッチパネル式だとうっかり手がふれてしまうとか。本当に目の悪い人は位置で覚えていて切符を買っているので,液晶で場所を変えられたら分からない。実はこれ銀行のATMでも液晶ディスプレイになったとき文句言われました。銀行行けば分かるんだけど,郵便局だとタッチパネル式の横にハードウェアのボタンがついています。だけど,複雑な切符を売るのでATMみたいにいきません。そういう文句が出たときにJRが対応した方法があります。目の不自由な人用に対応したのがここに出ている「数字ボタン」です。どう使うか想像つきますか?僕も初めてみたときはこれで解決するとは思いませんでしたが,260円の切符を買いたかったらテンキーで260とうつと切符が買えるようにした。これはお互いの境界だと思うんですよね。新聞によれば,団体の人は旧来の機械を置いてほしいとあった。実際は,JRにとっては残しておくことはメリットがない。ただ,お互いに使いやすくないといけないのでテンキーを置いて解決した。これは2番目の機械なので改良してボタンを大型化した。また,フィンガーナビゲーションというテンキーに指を導くもの。情報と認知みたいな操作のところだけじゃなくて,身体の機能にあわせてへこみをいれて車いすの人でも使いやすく,という改良した。

高橋
切符を売るようなたくさんの人が使うシステムは常に使いやすい改良がされています。これたぶん中はWindowsでディスプレイをつけてるだけだけど,見た目を使いやすいように工夫がされている。もう少し券売機の話をすると,皆さんの情報学部だとハードウェアよりも,コンピュータの画面の表示の方が興味があるし研究されているかもしれませんが,色の使い方,表示の大きさ,フォントのサイズも非常に工夫されている。

どっちが先に使われる?

高橋
みんなが持つような切符。これはイオカード。古いと新しい。どこが違うか分かる?これは「使いやすさ日記」からとってきました。この日記を見たときに使いやすさが変わったというんだけど,微妙な違いで分かりやすいと。

平田
矢印が白抜きになっている。

高橋
そう。これがたぶん目の悪い人には見やすくなったと。僕はこれが本当に見やすくなったか分かりませんが,古いものと比べると入れる方向が分かりやすくなっている。だけどそもそも使いやすさを考えると差し込み口の工夫や書き方の工夫よりも,入れるときにどっちの方向で入れてもいいって話になる。この切符はイオカードにはいつどこで乗ったかの記録がされる。切符を買わずに直接入れていいという切符。

高橋
Suicaと言われるもの。みんな知ってるよね。RFIDというものとほとんど同じです。これに関しては入れる方向も関係なく,タッチするだけで改札通れるようになったので,一生懸命切符を入れなくても,器用な動作をしなくても通りすぎることができる。だけど,このSuicaのカード僕も持っていますが裏見てもあといくら残りか分からないんだよね。そういった意味で僕は東京に月1,2回行くけど,昔よりはわかりにくいかなーと。たしかにSuicaは便利だけどこれと入れ替わりに不便もあるんだよね。こういう切符の使い方があります。今,お金をチャージしてプリペイドカードがいくつかあります。僕は外国人の留学生が来てふと思ったこと。携帯電話でなくて公衆電話をしている。海外に通話するとき残額200円だと足りませんね。1000円を足したいと思って入れます。機械によっては2枚同時に受け付けます。では,どっちのカードが先に使われるか?

高橋
JR東日本の切符売り場で1280円分買いたい。残額480円のオレンジカード。それで足りなさそうなので新品のイオカードを入れてみました。先に使われるカードはどちらでしょう?分かりますかね。

学生
新しい方が使われる。上の場合は,海外かけるということで海外専用の電話で,お金かかるの分かるので,新しい方使って,古い方が使われる。気持ちとしては古い方から使ってほしい。

学生
古い方。新しいカードを作ったとき,古いカードから使ってくれたほうがありがたい。

高橋
これは実際の正解はICのテレカなら知ってますが,動作は一緒かな。答えは公衆電話は200円のテレカから先に使われます。JRはイオカードから使われます。実際にはルールが違っていてテレカは残額が少ない方から。JRではイオカード,オレンジカード,Suica,現金の順番。こんなことJRに書いてありますか?書いてないよね。書いてないとどんな問題が起きるかな。僕は想像つかないよね。想像つかないから書いてないと思う。JRはどういう理由か分からないけどこうなってる。

高橋
さて,これはJRの側から考えるとどうなるか。利用者からすると残額が少ない方から使われると期待して入れる。で,そう思いこんでいるから使い終わったと思って捨てちゃう。Suicaにいたっては残額が表示されない。後で捨てたんだけど,都合よく回収箱に入れて,次買うときに値段が違うから気づく。実は設計する側からするとイオカードは消えていくカードだと。消える方を先に使ったほうが便利なんじゃないかと思って作ったのかもしれない。これは,あえて矢印を書いているのには意味があって,利用者からすると機械を使ってお金を入れて切符を買う。機械と対話している。利用者にとっては券売機がインタフェイス。設計者からすると機械を設計して出荷するんだけど,利用者からのフィードバックはほとんどない。こういう設計者が思っていることと利用者が思っていることの違い。思っていることをメンタルモデルといいますが,設計者もよかれと思って設計のことを考えている。利用者もこういうことを考えている。それは,経験とかこれまでの学習であるとかからこういうモデルを考える。先ほど,自分からすると残額が少ない方から使ってほしいけど,実際は機械だからそうならないだろうと。それは機械で手痛い目にあってるんですね。設計者はいろいろ知ってるわけですね。世の中にはいろんなカードがあって,こういう順番で使ったほうがいいだろうと思って作っている。利用者の中にはたまたま東京来てるだけかもしれない。設計者はいろいろ情報を持っているから,自分が一番便利だと思った方法で作っている。こういうことは駅員さんも知らない。この辺でよく問題が起きていると言われています。最大の問題は設計者と利用者の行き来がほとんどない。設計者と利用者のやりとりは機械を通してだけなんですね。

視聴覚教育メディア論・特別講義 「使いやすいインタフェース」  1/3 

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