■情報社会にむかい教育はどう変わるか

中村
一番大きいのは教える側も教えられる側も情報は一緒に持つということです。今までは先生があんちょこを持っていて,小出しに子供たちに教えればよかったですが,これからは教師は情報を多く持っていることがアドバンテージでもてません。そこで我々教師はどういう役割をはたすのか,ということです。

中村
(子供たちが)うなる切り口を持たせるにはめちゃめちゃ修行が必要です。投資してください。

中村
やはりひとりではたくさんの情報をこなせません。絶対ひとりでは無理です。コラボレーションとマネージメント能力。ひとりなら無理だけど,みんなとならガンバレル。とても大事です。これからの社会はコラボレーションと情報をどう切るかが重要になってきます。

中村
では,また少し写真を。堀田先生の手法をまねています。いい先生のやったものを写真だけ変えてまねるのは大事です。これは算数科の授業で長さ比べ,高さ比べのために撮影した写真です。では2枚目。違いますね。何が違うんでしょうか。女の子が2人映っているだけじゃないですよ。どう意味が違うか。


1枚目は高さが分からない。2枚目は子供たちが映っていることで高さが分かる。

中村
そうです。こういう写真を撮ってくると「ひまわりが私の背より高くなったよ」と発表できるわけです。こういう学習は日常の活動からやってきます。

■授業のちょっとしたコツ

中村
他教科との連携。一番大事なのは国語との連携。インタビューをしようと言う単元があって,そこにもどって国語で練習して,総合でインタビューする。だって皆さんの頭の中に国語や算数って分かれてます?教科って誰が分けたのよ,と僕はいつも思うんですがね。

中村
実はこれ古山小学校といって音読をすごく取り入れています。表現のトレーニングをしている。前に子供がひとり居て指揮者をしています。「ここは大きく」「ここはなめらかに」とします。トレーニングをすると指揮にあわせて読むという音楽のような音読ができるようになります。こういう基礎トレーニング。

中村
学習というのは継続なんですね。そのとき大事なのは「My蛍」と。マイ○○ですね。蛍は自分たちで育てて居るんです。自分たちのトレーがあって,カワニナをとってえさをやっている。環境をうまく利用して学習しているのが子供たちのこころにとって大事なことです。

■評価のちょっとしたコツ

中村
これ子供たちが前で発表しています。伊賀の忍者や,せんべいについて発表しています。すごくいい発表でした。そのときに聞いている子がいます。みなさんわかりますか?発表を聞いているシーンですよ(一番前で聞いていない子が居る)。なぜかというとこの子たちは僕の方を見ているんですね。何か面白そうな機械もってる,と。その子の評価カードを見てみましょう。皆さんも書かされませんか?自分の自己評価カード。中学年のときにこういうカードを使うとどうなるか。その子の評価カード「わかりやすく話しているか」といところは○です。「ちゃんと聞いたか」というところは○。自分の態度は◎で最高得点をつけてます。こういう評価を子供たちにさせていいのか,と。何をさせて,何を評価するのか。こんなの評価じゃないと思いましたが,こういう評価で満足する先生も居ます。自分がどうなんだ,ということを振り返らせるのが自己評価ですが,むやみにやらせるとこうなってしまいます。

中村
先生がその子の通知票をつけるために評価しているからですね。この子のどこが悪いのか,これからどうしていったらいいかを気づかせるための評価にかえていかなくちゃならない。そのためには自己評価や相互評価ってすごく大事なんです。特に子供たち同士の。中間発表して先生から意見もらうより,子供たちから意見をもらうほうが直すんです。途中で意見を言い合えるって形がすごく重要になってきます。

■現場の教員向けメッセージ

中村
では,最後に現場の先生へのメッセージ。僕は教師のなんたるかを問いかけたい。我々はサービス業です。学校は子供たちのものであって,子供たちがのびることがすごく大事になってきます。「あんたらそんなことしたらボールかさへん」というけど,それは市町村がくれたんであって先生のものじゃないんですが,そういうことをする先生居ますね。それは違う。子供たちが主体です。そういう信念をもっていかないと子供たちに「罰」で対処することになります。「今日の課題は何?」と子供たちに必然性を問うことが大事です。子供たちをつなげるために共通体験をうまくさせる,とか。情報共有するために教室の環境を整える,とか。そういう教師の信念が大事になってくると思います。

中村
日頃の活動は先生がいないときの教室を見にいったりします。なぜか。そこに先生の思想が表れているからです。お客さんが来たからといって準備するとすぐばれます。ふだんからやっていくことが大事。今までたくさんたくさん自分にお金をつぎこんできました。いろんなところに勉強しに行きました。それのおかげでみなさんの前でお話させていただいています。お話することによって自分が勉強になることがあるので,日々自分にいろんな活動を課したらいいと思います。今日行った校長先生が言いました。「仕事は断ったらいかん。断ったら次の仕事が来なくなるでぇ」と。最初は断らずどんどんやって,仕事が増えたらチョイスしたらいい。

質疑応答

学生
僕は教職の免許取得をめざしてるんですが,僕は高校の方と連携してるんですが,先生ということでどういう先生が魅力的か,できる先生か。そういうのは授業がしっかりできるとか,わかりやすいもそうだし,子供たちにコミュニケーションとりながらクラスを運営できるとかありますが,中村先生の中で「できる先生」ってどんな先生か。

堀田
君が思う「できる先生」は?

学生
授業のうまさもそうですが,子供たちの視点にあわせている。先生の考えに偏ったものではなくて,子供とコミュニケーションとりながら,わかりやすい授業って何か考えながら進めてくれる人。

堀田
いい先生ってどういう先生なんでしょうか。

中村
話長くなりますが,うちのセンターの所長と三重大学の教職員を目指す人に毎年話に行きます。そういうときどういう教員を目指すかという話をするわけです。だいたい面接したらすぐ分かる,と僕と町長が豪語しました。そしたら三重大学の先生が「ではうちの学生7人を使って模擬面接してください」とやってきた。その中で7名居ましたが,2名合格と言いました。さてどういう観点か。後の5名は「先生っていいな。学校にもボランティアで入ってるし」ということばっかり言った。あとの2名は「先生にもいろんな方いらっしゃいますね」と。いろいろ見てるんですよ。情熱はある。そしていろんなところを見ている。そうしたらその2名だけが,質問するときに「○○さんもおっしゃってましたが…」とひっかけて話していた。そうしたら指導教官が「その2名はもう合格しています」と言われた。大事なのは情熱がひとつ。私の部署には指導力不足の先生方が来られています。その先生方にいろいろ伝えながら進めます。「総合的な学習の時間で大事なのは何ですか」とまとめてもらう。子供たちをよくしたいとか,のびてうれしいとかいう気持ちがないんです。そういう意欲がないんです。技術力は後からついてきます。ですから,みなさんも技術力を後からつける努力をしてください。「情熱さえあれば大丈夫…」と言いませんが,情熱がある人は前向きにいろんな技術を身につけていきます。

堀田
面接をすると分かるというのは僕も分かるんですが,AO入試とかすると先生たちの意見は一致します。所長と中村先生の意見は一致した?

中村
一致した。

堀田
それは,面接で偉そうに話さず,自分の言葉で,というところだと思います。先生が本音を言うときに「よかったな」と思うのは通ずると思うんですが,先生は立場があって叱るときもある。そういうことだけじゃなくて,本音が…というのがコミュニケーションの本質かもしれません。今の人の話を受けて質問してくれると思いますが。どうぞ

学生
学校の先生は普通の社会人よりは子供といつも接しているせいか,幼いイメージがあるんですが。違和感がある。そういったことに関してこういう取り組みをしている,というのはありますか。

堀田
幼いというのは顔じゃなくて振る舞いのことね。若いといえば若いけど,それいつもジャージじゃちょっと,というのね。

中村
学校の先生は世間の常識からすると非常識だと。一番問題になってるのは30代ぐらいの先生です。わがままです。めちゃくちゃ。非常識なんですね。自分をおさえることを知りません。なぜなら来た瞬間から女王様であり王様なんです。ほかから言われたことないんです。「だめです!」と言われることがほとんどない。だからものすごいわがままです。ちょっと言うと感情的になります。爆発しますので,私も言い方を考えています。私も大人ですので。ですからそういう先生が子供たちに教えるときにどうなるのか,という不安がいっぱいあります。それはこれからいろんな仕組みで淘汰される仕組みになっていきますね。

藤原
30代の藤原です。すいませんホントみなさん。ここに居るだけで心苦しいんですが。中にはがんばってらっしゃる先生も居ますんで。今日はわかりやすい授業がテーマだとお聞きしまして,中村先生のプレゼンをして説明するのもコツのポイントだったなぁと思いました。たとえば語りかけていくとか,ときどきネタが入っているとかいうのもあった。やっぱり丸秘テクニックじゃないですか。今回のプレゼンで丸秘テクニックがあればもう少し教えていただきたいです。

堀田
自分では分からないので解説してほしい?

中村
30代のわがままを聞けと。実は,コツというのは秘伝でして…というのはウソね。隠すほどのことじゃないですが,まず誰かポイントを決めてうなずいている人とか,話にのってきている人「誰か」に語りかけます。プレゼンするときは1人をターゲットにして薦めます。寝ている人相手に話すとやる気がなくなるので,うなずいている人向けに話します。1人です!オクサマも1人ですね。

堀田
アメリカではそういう聴き方の学習を学校で教えます。どういう風に聞いてうなずけばしゃべる人が話しやすくてディスカッションが盛り上がるか。日本ではどうやって受け止めよう,表そう,というコミュニケーションの基本の学習を実はやってこなかったかもしれない。中村先生が総合的な学習の時間の話されましたが,伝えるとか,伝え会うっていう活動は学校で多くなってきてるんですかね。

中村
総合的な学習の時間ってのは,今まで子供たちに知識を注入してるだけだったんじゃないか?そうではなくて自分たちで調べてまとめて伝える力が必要だということで生まれてきた。その中でも聴き方。聴き方を子供たちは知らない。メモの取り方,相手の目を見る,うなずくといいよ,とか。そういうことをどんどんおさえるのは重要。対話と言いますが,ダイアログ。子供たちに権限を預けて「やりたい?あと5分やりたい?」ということで主体性をちょっとあげる。そうすると学ぶ。作業の中から学ぶことがとても大事です。ダイアログについて今だそうと思ってたんですが…。

堀田
ちょっと中村先生時間もあるので,最後に皆さんに伝えたいことがあります。今日も学校の先生来ていますが,都田小の先生手をあげてくれますか?5人居ますね。都田小は6学年で単級です。そのうち5人来てる。そういう人たちが前向きに来ている。問題はこういうところに来ていない人は学ばないんですね。問題は学ばないのに給料をもらえる仕組みがあって,それが今の構造改革で変わってきている。先生たちもうかうかしていられない時代になった,ということです。それは企業ではとっくにそうなって,大学もこれからそうなっていきます。そこで中村先生に質問。先生のところでは指導力のない先生を研修しなきゃいけない状況。普通の先生が自ら努力して研修する追い風みたいなのをどうやって作っていますか。あるいは無理ですか?

中村
まず無理だとは思いたくないので。拠点。地域を決めてOJTです。仕事をしながら学んでいこうということを学校では先輩の先生が教えていたけど,今はない。そこで学校の中で仕事しながら学んでいこうということで,放課後に我々が出かけていって,外部のコンサルを入れて学校の仕組みを変えましょう,組織から変えましょうということを目指して活動しています。

堀田
最近の管理職はどうなんですか?

中村
二分化してきましたね。前向きにマネジメントしていこうという人たち。今まで学校は2,3人の先生ががんばってればまわった。ところが,忙しいのでまわらない。やはり学校のシステム化をはかっていくことが大事。そういうことがみえている校長先生はやっています。あとは「任せた!」といって何もしない人たち。管理職の研修をしていますが,学校,子供たち,先生たちをどうするのか,ということが最近どうなってるのかな,と。

堀田
企業でもマネジメントって注目されているんですが,今は学校によって違うので,ポリシーを明示しないといけない。最後構造改革の話になりましたが,これで終わりにしようと思います。現場の先生はメールで感想をください。


中村武弘の情報教育教え方教室 4/4