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自分の教育実践を研究として成立させる方法について学ぶ会

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公開検討会 2
報告者:正來 洋(石川県野々市小学校)

正來
『即応力』を育てるためのワークショップ形式授業における配慮点,ということで発表します。なぜワークショップ形式の授業をしたくなったか。子ども達の実態から,去年,子どもたちがテレビ会議をする場を見ていた。じっくり準備して,発表するのは得意だった。反面,限られた時間で,お互いの考えを言い合い,伝え合い,まとめるみたいなところは苦手で,固まってしまって,教師の指示待ちと言うことがある。そこをしっかりできるということを即応力ととらえて,伸ばしたい。

そこでワークショップ形式の授業を取り入れた。付箋紙を利用して,お互いの意見をしっかり書いて,出し合って,まとめる。キーワードでくくってみようとか。

全員参加にしたい。突然まとめてくれと指名したり,他の人の意見を要約させたり,グループの中で,だれが参考になる意見をいったかということで賞をつけた。相互評価の繰り返しになる。

ワークショップの最後に自己評価で,ワークショップへの参加を評価させる。ワークシートを使う。

ワークショップ自体は,2学期,9月の最初から,形を変えながらやってきたが,19回やった。そのうち,今のような形でやったのが,セッション1−5,11月から4回ほど,そこでの様子をデータに取った。

子ども達の自己評価の推移。調べる力はどうでしたか,ということ。ABを肯定的な評価とすると,大きな変化はない。CD評価もそれほど変化無いと思う。ワークショップは調べる力を伸ばしてないといえると思う。

まとめて言う力,グループ内での発表などで,まとめていうちから,A評価は上昇している。C評価は,セッション1−4まで減少している。セッション5にはいるとA評価が下がる。グループ発表会を挟んだので,自己評価が下がる。

経験値が上がると,自信とか達成感があがる。

まとめて書く力は,A評価が顕著な上昇をしている。C評価は低下している。書くほうの自身・達成感が高まっている。

グループで協力する力は,A評価はかなり上がっている。CD評価は大きな変化がない。振り返りのセッションが入るとデータが変わっている。

経験地が上がると自信や達成感があがり,振り返りをするところでは,自己評価が厳しくなります。

ワークショップでは,書く,まとめるということをせざるを得ない。
力がついたかどうかというところまでは分からない。
グループでのコラボレーションに対する達成感には繋がらない。

小柳
非常に内容的にも濃かったが,会の趣旨と照らし合わせて,研究として成立させるために4点ほど。

今回の発表でも用語がいっぱい出てくる,申請書に書くと目を引くが,趣旨にはグループコラボレーションとかいてあったり,即応力とかいてあったり。用語が統一されていると,かっちりした研究だと思われる。人目を引く言葉はリスクを伴っていて,それは説明を求められるから。逆に従来の言葉を使うと定義しなくてもわかってもらえる。論理一貫性として,あくまでこの力をつけるというなら,それが即応力にどう繋がっていくかと言うことを説明しないといけない。

実践そのものについて,こういう試みでやってみましたと読めるところもあって,ワークショップという環境のなかで,何を読み取ろうとしているのか,対象がよくわからないところがある。対象に対して方法が関連していると良く見えると言うのがある。345というのは記述として面白いが,対象が限定されてなくて,。方法が明確でない。

対象,方法,結果と言うことをしっかり分けて書いたほうが良いかもしれない。

3点目は,教育活動として,子どもにとって4つの力をつけるということは重要だと思う。しかし研究活動としては複雑,禁欲したほうがいい。どこかで留めないと,何がどこに関わってきているのかが分かりにくい。やりたいことを全部書かない,複雑になればなるほど,何が原因で,何がそれぞれにかかわりがあるのかわからない。そうは良いながらも,もし言うなら,4つの力おのおのについて,子ども達がどういう変化をしたかということを記述されたほうがいい。子ども達は自己評価をしているが,Aを選んだ子は何パーセントというふうにして出ているが,子どもがどこをどう選んでいるかと言う実態が見えにくい。

グループごとの比較とか,類似点,差異,違い,グループ内で得点が高かった子はどうだったかとか。全体としては見えるが,知りたいのは具体。

今回は,教育的意図が,よく見えない。セッションで,子ども達が自発的に進めたようにも見えるし,でも先生は絶対にかかわりをしているはずで,そこを示して欲しい。

いずれにしても非常に複雑になるので禁欲して限定するほうがいい。

結論は,探索的研究の結果見えたことだけど,先生は初めから見えていたんではないか。本当はその先が知りたい,例え探索的研究でも,問題意識から,予想を立てた上で研究を進めたほうが,対象も限定されて,方法も限定されて,見るべきデータも見える。

簡単に絵を書いてみた。達成された部分と達成されて無い部分で,達成されてない部分を即応力として捉えて,一方で,それを促進する要員と,それを阻害する要因も見た方がいい。ある力が足りない,足りなくさせているものは何だろうか,その両方が見えると,現状がクリアになるし,阻んでいる要員を取り除くと促進する方法に繋がる。

効果に関して,原因がどう絡んで,効果が出ているのか,そういうところを明確にするつもりで,順位付けをしていくと,解決できるのではないかと思う。

堀田
今回2人を発表者にして限られた時間でよくやってくださったと思います。典型的な穴に落ちてくれて,分かりやすい材料役をやってくれたと思う。皆川さんは本当に原因か分からないところを結論にしている。正來さんのでいうとWSをやったら面白かったのは分かるけど,今までの教育活動とどう違うかが語られず,自己評価で見ている。そういう僕らが実践研究するときに何をどうやってあらかじめ考えていけばいい実践になるのか,実践する前からどれだけ予想しておくのかといういい材料になったと思う。この後,白江先生の発表をしていただいて,木原先生のコメントをいただいて,休憩としたいと思います。




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