2〜落ちたライバル〜
こうたろうは,毎日,たかしを探して町を走り回りました。 先生のためにも,必ず見つけなければなりません。
1週間ぐらいたった日のこと。町のホールに,たかしはいました。 売れっ子の若手ピアニストとして。
こうたろうを見たたかしは,驚いて逃げようとしました。 でも,何かあきらめたように,足を止めました。
「どうして“ひびき”を作ったのがおまえになっているんだ?」
怒って聞いてくるこうたろうに,たかしはいいました。
「おれは先生の楽譜を持っていたんだ。それを参考にしただけだ!」 「同じ名前の曲があってもいいだろ!」
こうたろうは,あきれてしまいました。 確かに見た楽譜は,先生が作ったものとは違いました。 変調してあったのです。
「参考にしたのかもしれない。でも,調子を変えていてもあとは全く同じじゃないか!」 「おまえは先生に育ててもらった恩を忘れたのか?」
そう言いのこして,こうたろうはホールをあとにしました。 反省の色の見えないたかしを残して。
2のポイント
☆ たかしはあくまで参考にしたといっています。
☆ 先生の“ひびき”とたかしの“ひびき”は曲調が違うだけです。
☆ 楽譜やCDが売れると,たかしにお金が入ります。
問い
1.自分の作った作品と同じものを,他人が作って売っていた としたらどう思いますか?
それはなぜですか?
2.たかしは”ひびき”を売る前に何をするべきでしたか?あ なたの考えを教えてください。