堀田研究室

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1.気楽な情報教育の実践を知ろう
2.少し先の学校の様子を知ろう
3.学校の情報化と情報法
4.情報教育実践を踏み外さないために

 

「気楽な情報教育の実践を知ろう」(実践報告)

   実践1:浜松市と石川県松任市との交流学習
   (中條敏江@石川県松任市立東明小・教諭)
   実践2:毎日更新の学校ホームページ
   (笹原克彦@富山県富山市立寒江小・教諭)
   実践3:ちょっとしたお手伝いでみんなが動く情報主任の支援
   (渡辺純恵@富山県富山市立熊野小・教諭)
   (正來 洋@石川県野々市市立野々市小・教諭)


堀田
すごい実践ではなくちょっとした工夫でこんなことしているという実践の紹介。それを元にヒントを得て,今すぐできること,少し先にできること

#ごあいさつ

実践1:浜松市と石川県松任市との交流学習

  (中條敏江@石川県松任市立東明小・教諭)

中條
東明小は一学期浜松の芳川北小と交流。私はサポートという形で交流。サポーターからみたこの交流がどうだったか。今日は多くの芳川北小の先生。数多くのつけたしをいただければと思う。

私は教員であると同時に教育工学の研究部に入っていて,交流プロデュースをしている。内山先生からふっていただいたテレビ会議の交流はすごくよかった。成功の理由は2つある。

1つめは,テレビ会議をイベント的ではなく,子どもの意識の流れを大事にした交流。

2つめは,指導者同士のコミュニケーションがよくとれていた。

遠いのでメーリングリスト。打ち合わせのテレビ会議をした。


成功の理由1.
東明小では6年のナカノが芳川のタカミ先生とした。たいくつなテレビ会議はいやだった。見るだけ,聞くだけ,座っているだけのもの。ひとりひとりのコミュニケーション力がつくものにしたい。これはガイドブック。見せ合って関そう言うだけじゃダメだと思った。いろんなメディア。テレビ会議のよさを出したい。双方向性のある,ツーウェイのメディア。その中でコミュニケーション力。

相手に伝えようとする
反応を返すことができる
即応力がある

メディアを通すからとにかく反応が大事。聞かれても,わからなかったらわからないですぐに応える。そのために最初は子どもの意識にそうためにもきっかけづくり。まずは仲良しテレビ会議。皆が関われる工夫。それが配布した資料。「テレビ会議って楽しいなぁ」とする。最後のガイドブックのために少人数テレビ会議。そのためには人間関係ができていないといけない。テレビ会議にも慣れていなければならない。そのために昼休みなどにじゃんけんゲーム。仲良し感を出す。最後にガイドブックを送る。そこでコミュニケーション能力がつくようにする。

#テレビ会議の様子の写真

向こうのガイドブックをみせてもらってこちらで質問をする。こちらのほうでは学校インターネット3で実物提示機で送るとやりやすいように。ひとりひとり関われるように。グループでガイドブックをよりよいものにする。テレビ会議でよりよいものにする仕組み。

成功の理由2.
教員同士の情報交換。サポーターとしては指導主事の内山先生と私。同じ学年の人達,こちらでは機器サポーターもいれて7人。2ヶ月で246通。打ち合わせにMLがうまくつかわれた。多い日で24通。顔合わせのテレビ会議,グループTV会議,途中ではグループでの昼休みTV会議を毎日。教師の打ち合わせのTV会議もした。打ち合わせのTV会議の前に非常にたくさんのメールがやりとりされている。これは何回も行った。MLの中で授業案やシナリオを添付して深めていった。

#発言:レス=50:50

メールを出すと,返信した場合レスがつく。黄色がレスと普通。レスが多い。お互いに深め合っている。発言の中でも引用があるものが多い。教師自身がコミュニケーションしないとこどもたちにコミュニケーションの力はつけさせられない。芳川北小の先生はTV会議が初めてだったので私たちの話も真摯に聞いて頂けた。お互いに深め合ったなあと思う。こどもたちがコミュニケーションするならまず私たちが。

成功の理由は,TV会議の特性と学習方法がマッチした。イベントだけではなく,ねらい・つけたい力を明確にした継続的な交流学習だった。指導者同士のコミュニケーションがよくとれた。指導者同士がよき授業にむけてコミュニケーションすることが本当に大事だと思った。

堀田
芳川北小の先生にお聞きしたい。

伊藤先生
テレビ会議が初めてで最初はなんとかやればいいと思っていた。中條先生と意見交流する中でTV会議には必要性がなければいけないということをメールで教えていただけた。今日お会いできて幸せです。芳川からは8名。身近に感じさせて頂いた。とてもいい勉強をさせていただいた。

堀田
なんてコメントしていいのか。伊藤先生はもしかして中條先生の本物は初めて見た?

伊藤
テレビではいつも合っていたので。

堀田
だいたい会ったこともない人とTV会議をするのはめずらしいんだけど。ホントは会ったことのある人とやるのがいいのかもしれないけれど。あるとしたら出会い系くらい。今まで会ったことがない人と今日初めて会ったような感じ?

伊藤
初めてじゃない感じ。Dプロジェクトも読ませて頂いたので,たぶんこういう方だろうなというのは分かっていた。

堀田
僕この実践をMLの中身は分かりませんが,外から見てて思ったのはどこの学校にもTV会議のシステムはある。テレビ会議はシステムを使うことだと思っちゃう。ホントはTV会議を使ってやる内容に意味がある。どんな人達と会って,こどもたちとどんな体験をさせて,どんなコミュニケーションが起きるのか。僕はある学校に「テレビ会議どうですか?」と聞いたときに,ある学校では「いくらかかるんですか?何回やるんですか?」という心配をされた。良い実践をやっていればお金の問題じゃなくなる。お金の問題になるということはいい実践がないから。たくさんのメールがやりとりされていい体験をされたんじゃないかと思う。浜松でも芳川北小の実践は報告されると思うけれど。楽しみにしています。

実践2:毎日更新の学校ホームページ

  (笹原克彦@富山県富山市立寒江小・教諭)

笹原
今回もお前はそろそろうなぎを食べたくなったんじゃないのか?といわれて「いいですね」と言ったらあっという間に来ることになった。今回はHPについて話して欲しいというお題をいただいた。学校HPを運営する立場として気を付けていることを話そうと思って用意してきた。

最初にHP紹介したいんですが,これ最近よく見ているHP。富山のローカル情報。中にはどんなものがあるかというと…。スマップっていう飲料。こういうふうに情報が出ていたり,ローカルネタ。こういう店が新しくできるよ,とか。それを見ながら「そうそう同じだよね」と思ったりする。

実は更新ってのは非常に大事。私が学校のHP担当なのでまかされていますが,どう更新していくかを常に考えている。今日はだいたいこんな3つの流れでお話したい。

1.寒江小のWebは?
2.毎日更新する情報は?
3.なんで毎日更新するのか

最初に寒江小のWeb。カラーで表紙部分だけ印刷してもってきた。昨年度はこんな感じのページでした。よくありがちな。校区の様子だったり,行事が書いてあったり。これ4月に公開してこれっきりなんですね。そのうちこの存在に気づいた地域の人が「次いつ更新するの?」とくる。これじゃまずいんじゃないのということで,全面リニューアル。これは昨年度はとりあえず。今年度は学校の学習活動を地域の人に伝えることを一番に考えてある。

学校のトップは校長ですから,校長が考えていることをこちらに出していく。うちの校長は事前に山にのぼりに行って写真を撮ってきてレポートしてくれる。という具合に出している。1学期の間に15号まで出してきた。これを読んでもらうと校長の学校づくりの方針が分かる。

堀田
これ文章は校長ですよね。

笹原
文章は校長ですが,Webページにしてるのは私です。これは校長ですが地域の様子が見えるように,写真と組んで作ったイベントの様子をみてもらう。これは毎日更新ですが,「今日の寒江っ子」というのがあります。最初のページを開くとディスプレイに写したときに全体が1ページにぱっとおさまるようにした。真ん中に今日の寒江っこというのを見たら,毎日更新がされているのがわかるようにした。

学習に役立つリンク集。このHPにつなぐと学校で使っているリンク集がみられる。

地域に対して,活動を見せる。更新することで地域の人が何回も見てくれるし,学校の姿勢が伝わっていく。毎日更新するのは大変ですが,大変すぎたらムリなので10分でつくれる写真1枚とちょっとした文章にする。特別なことをするんじゃなくて休み時間の様子とか,ぱっと撮ったものを出す。簡単に言っていますが,毎日更新するのは大変。10分なので自分に対するノルマだと思ってやってる。こういうことすると先生自身が学校内の活動をよく見るようになる。更新する意味ですが,保護者に対して学習活動を公開。先生たちのがんばりがアピールできる。保護者とのコミュニケーションツール。それによって保護者と私たちの間に親近感が生まれ,信頼感が高まっている。HPを使った学校の情報公開は見てくださる人が増えれば増えるほどいい。1500アクセスあるけれど,子どもは150人くらい。校区全体で400。各家庭が3回,4回と見てくれている。

堀田
このフロアの中に学校のHPを担当している人。はい質問。

五十川
起案をまわす方式はあるんですか?うちはWebに載せるためにHPにアップするものを印刷してみせる。

堀田
アップする前に?

笹原
本当は見てもらえばいいんですが,出してしまっては遅いので,富山市の方針がある。僕は寒江っこの部分だけ更新して印刷して校長にみせる。それが実は一番しんどい。

堀田
現実な問題としては責任問題のとおり動くのはムリ。僕は勇み足もフォローできる範囲だと思う。

笹原
校長暇なので(笑)。校長か教頭がOK出せばいい。

堀田
でもこれは地域の人が見ていれば認めてくれるよね。

笹原
「あんたに任せてるわよ」というかんじ。顔については個人が特定できるような顔写真は出さないことにしている。横顔だったり小さかったりする。見た本人は分かるけど,知らない人には分からないようなサイズ。

堀田
顔以外ってことは顔の後ろから?あるいは背中ばっかり?今みたいな質問は岡田先生にも聞けると思いますが。じゃ,新村先生。

新村
うちの学校は一昨日いろんな担当の先生にページをつくってもらってそれをアップするのが今後の課題。HPの資料の下の構想の部分が必要です,という点について毎日更新するときのポイントは?

堀田
みんなに作ってもらうための工夫。

笹原
みなさんが作れるんだったら大変なんですけど,ちょっと見にくいですかね?要はみなさんが作ったものをどこにしまうか。たくさんでやるとわけがわからなくなる。基本的には私が管理する。皆さんが作ったものはひとつのフォルダに入れるようにする。学年ごとにフォルダわけ。

堀田
構内LAN?

笹原
そうです。

堀田
新村先生がんばってね。みんながやってくれるように工夫するのは大変だけど,みんながやってくれるようになれば楽しいよね。

実践3:ちょっとしたお手伝いでみんなが動く情報主任の支援

   (渡辺純恵@富山県富山市立熊野小・教諭)
   (正來 洋@石川県野々市市立野々市小・教諭)

渡辺
富山の熊野小渡辺です。ちょっとしたお手伝い。4月に熊野小に転任。1学期にやってみてよかったことを少しお話。みんなが動いてくれるようになったちょっとしたネタ。

4月3日に職員室に島がありますが,その島の中で各島にハブを置いた。大元のハブはプリンタの近く。各島にハブを置いて300円のケーブルを先生方に買ってもらって,先生方のコンピュータをつなげるようにした。元にあるハブと違うのは,やっぱりすぐ目の前にハブがあってぱっとつなげるのがいい。これによって4月から先生方のパソコン利用率がアップ。はじめの挨拶したときに,先生方の机の上にはワープロのほうが多かった。今はパソコンが多い。新しくマシンを買った人も居る。

#再現図。会場爆笑。

もうひとつは,私が行ったときにはデジカメがこんな状態。どれをどれに入れればいいのか分からない状態。100円ショップで箱買ってきて整理した。箱の中にデジカメと記録メディアと電池,テレビで写すケーブルをセットにした。たったこれだけのことだったがデジタルカメラの使用頻度がアップした。校外学習でこどもたちにわたすときも箱ごとでいい。生活科の観察記録や,活動記録でこどもたちがどんどん使うようになってくれた。

先生方に動いて頂くミソはどこにあるのか?

まずひとつは,使いやすい,便利だなと思えるように環境を整える。
そして,大仰ではなく何気なくそうなっていること。

自分の机から職員室のプリンタに印刷できる。パソコン室で共有フォルダを入れておく。デジタルカメラの画像を閲覧できるようにVixが入っているとか。それによって先生方がこどもたちに使わせてくれる。

堀田
ふつうの先生ってメディアを使って,子どもにどう使わせるかは敷居が高いのの連続。小さなステップの連続にかえることで頻度があがる。

正來
石川県から来た正來です。ポイントは教師も子どももじゃぶじゃぶ使える環境にすること。そのためにどうしたらいいかな,と。教室で,普段の授業で,休み時間にもどんどん使っていけたらいい。

パソコン室編
パソコン室ってのは学校によっては鍵がかかっていつも真っ暗で,たまに空けて使うと中のものがなくなってたり,動かなかったりする。私が行った学校もこの状況に近かった。ローマ字表やキーボード表はこどもたちがひっかかりやすい。みんなが取りに来やすいところに置いておく。そしてその裏側にはこどもたちがひっかかりやすい文字入力のところを入れてある。

これはこどもたちが自分で進められる環境づくり,ということです。

パソコン室は,左側は去年のもの。右側は新しいもの。ミソは真ん中をあけたこと。理想はコの字型。ワークスペースが大事。

ノートPCを教室で使う。どうやってみんなに使ってもらったらいいか。市販品のKOKUYOか何かのノートPCをトートバックのように入れて運べる環境にした。常に充電状態でぱっと持っていけるようにする。こどもたちは電源,マウス,ごったまぜにしてもっていくので,トートバックになっているのがミソ。これは職員から見て,こどもたちに安心して使ってもらえる工夫だと思う。

最近,2005年の教室の目玉,というのがありますが,その目玉のひとつがプロジェクタ。ホワイトボードに貼って使えるスクリーン。ホワイトボード兼スクリーン。こうやって使っていると周りの先生にも広がっていく。

プロジェクタは持ち運びが不便なのでOHPの入っていた機械の中身を出して,教室の中を移動できるようにする。

電源ケーブルもめんどうなので,私のほうでホームセンターで1本500円で延長ケーブルを買って各教室に配っている。思いたったときにすぐ使えるセッティング。

ということで,気兼ねなくいつでも使える環境を,ということです。

堀田
割とひとつふたつはやってそうだけど,これがある学校であちこちでやっているとなると,「めんどうだから使わない」は理由にならなくなる。使っていない人にはコンピュータがなぜ便利かは伝わらない。先生方に使ってもらうための工夫は情報主任の仕事だと思う。

中村
Webでひろげたら面白い。

堀田
おばあちゃんの知恵袋じゃないけど,女の人がさりげない気配りをしている。全国のうまくいっているところはそう。今日は時間制限があったのでこれだけだったけれど,もっとあると思う。