堀田研究室

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「情報教育実践を踏み外さないために」(ディスカッション)

    コーディネート:堀田龍也@静岡大学情報学部・助教授
    パネリスト  :岡田安功@静岡大学情報学部・教授
            高橋伸明@岡山県笠岡市立中央小・教諭
            小川雅弘@静岡県浜松市立都田小・教諭


堀田
この後はディスカッションとありますが,巨大な質疑応答みたいな感じです。法律は具体的なシーンが与えられないと問題解決がしようにも難しいんですが,そのしょっぱなに前の2人に質問いただきたいと思います。なんでこの2人かと言うと,今前に出ている都田ダッシュ村のWeb。都田小ではこどもたちのWebが出ていて,センサーもしかけてあって16時現在でどうだとか出ているわけです。これはこの機械が自動的に育てているわけではなくて,この小屋があってその小屋の前にノートがあって,そこに子どもは来るとノートに記入している。のべ60人通っている。

これライブカメラなので通ると写るんですね。子どもは写りたいんだけど,子どもはここに居るときには自分でパソコンみられないんですね。だけど,これ過去の写真を見られるわけですね。だけど写ったらプライバシーになるかも?この辺小川先生にお願いした。

こちらは高橋先生。高橋先生はメディアリテラシーをやっている。こちら下村さん。下村さんは高橋先生の学校に入って活動している。法律でカバーできない部分に関してこどもたちがリテラシーを高めて対応するというメディアリテラシー関係の,日本で数少ない実践者なんですね。

お二人から質問いただいて。残りは会場から。

小川
さきほどダッシュ村で質問したいことが堀田先生で言ってくれちゃったなと思うんですが。2台のライブカメラでこどもたちの活動をうながす。最初,遠景を決めるために民家の庭は入らないようにした。ライブカメラなので自動的に撮っていてたまたまうつっちゃったりする問題がある。実際どういう例があるのかな?

堀田
ちなみにたまたま写っちゃったことはある?

小川
いえ。あまり。親からはもっと大きくこどもたちの様子を写すようにして欲しいという要望もある。また,ここでの活動をHPで発信するときに,こどもたち自信がお互いを撮ってやったりするようになる。すべてこどもたちの表現したいことに制限をかけることになると思う自分自身うまく抜け道があったらいいなと思う。

堀田
2つめの話は範囲と関係あるかもしれませんね。言い忘れましたけど,これスズキ教育ソフトが協力してくれていて,あわよくば全校にと思っているけれど,カメラ止まるたびに都田に行くことになるので大変なんです。

岡田
非常に難しい。コンビニ行くと防犯でカメラもある,自動車運転すると自動車検問で写真撮ってる場合もある。最高裁判所の判例で,これと同じじゃないけど,日本の裁判レベルでは「何人もみだりに容貌をとってはいけない」とある。ただし,スピード違反のときのカメラ。あれについては取り締まりとか,そういう目的があるということで憲法には違反しないと言われている。最高裁までやった人居るんですよ。結局みだりに写さないというのであればいいと思うんですよ。堀田さん言ったけど,撮ったのが学内だけとか,学外にとかいうのはコンテンツの影響力を考えると非常に重要な問題だと思う。やり方としては学内か,学外かはひとつの分岐点。写すというレベルというと,こっそり写す,という問題がある。写真撮ること自体は問題はないけど,撮ったときにこっそりとなっているか,あるいはここに来れば撮られることになっているということが,カメラの近くに居る人に分かるようになっているか。これネットに載せるのは,いちいち承諾を得るとなると非常に煩雑になる。これ稲だけだったらいくら写してもいいと思う。田んぼの持ち主が「問題だ」といえば問題になるかもしれない。奈良の金閣寺とかはとっくに著作権なんかないんだけど,所有権を元に撮っちゃだめという人も居る。被写体との関係で個別的に撮ることができないというのであれば,特定の被写体が分かるのであれば一定の期間に撮った写真について公開することを一括的に撮っておくということを許諾を撮ればいいと思う。これは個別の事例で考えないと実際の解答を出すのは難しい。

小川
はっきりこう来る人がわかっているのはいいんだけど,横の道を通ったり…。

岡田
横の道を通る人が限定されているなら,許諾をとればいい。だけど勝手に入ってくる人に関しては許諾をとる必要はない。

高橋
メディアリテラシーのことは浜松の人は熟知していると思っていますが,メディアの特性を理解する授業が多い。著作権について気になる活動もある。CM分析ってのがある。15秒のCMを分析して,ワークシートに書いて分析して,短い時間の中にいろんな工夫があるとか,そこに制作者の意図があるということを分析します。あるいはバラエティ番組を分析して,そこでの笑いと人権についてパネルディスカッションをする。それはそのバラエティの価値を決定するのではなくて,色々な価値があることを見いだすためにするんです。こういう活動をはじめ,新聞や,チラシ,ポスターを分析するのはよくある。こういうのって,そもそもメディアの人達はこういう分析を想定していない。こういうメディアリテラシーをやる以上教師は背中でメディアリテラシーを教えなければいけない。バラエティで民法の局は許諾をとってみたりした。こういう活動が世の中全般に広がると,許諾を取るといいのは分かるんですが,取らないとどうなるか,とか。バラエティ番組に関しては家族と同じ扱いにすればいいのか,とか。

岡田
今,流すというのはテレビの場合でいうとビデオで録画したのを見せる?あるいは録画したのをケーブルを使って配信する?

高橋
教室でビデオデッキで。

岡田
まず,印刷されたものについていうと当然教室で使うというのはコピーするわけですよね。コピーでも必要な量だけやるなら学校教育なら問題がない。通常の学校教育なら何の問題もない。テレビ番組の場合も録画したものを要するに必要な範囲で生徒に見せる。それは全然問題がない。だけど学校から家に持って帰らせるとか,ビデオをダビングしたものを配るとかしたら問題が起きます。あくまでも授業の中で,みんなが議論するのに必要な範囲で見せるのであれば特に放送局の許諾を得なくても出来ると思います。著作権のおよばない範囲。著作権の例外に入ります。評価の問題はまったく自由です。

堀田
たとえばですね。こどもたちがこの番組について劣悪だ,とか評価したのをHPに載せたら名誉毀損のようなことは起こりうるのでしょうか?

岡田
よほどのことない限りそういう問題ないと思う。論評の自由がある。名誉毀損はその人の社会的信用を下げたりする。公正に論評した結果低い評価を与えるのはいいわけです。公正な論評である間は問題ない。公正を越えて酷評したりしたら名誉毀損の問題が起きます。

堀田
難しいんだけどなるほどと思う。僕もときどき岡田先生に聞こうかなと思いました。今みたいな話で是非フロアの方で色々やられている方はいろんなことに出くわしていると思うんですがいかがでしょうか?

児玉
インターネット上からドラえもんの絵をひっぱってきて,ドラえもんをならべて算数の授業で使うとする。だけど使う理由はそれで注目させる意味がある。その後「先生それほしい!」と持って帰った子がいる。それ私もわだかまりがあるんですが,どこが問題があるのか明確に説明できない。

岡田
ごめんなさい。もう一回。

児玉
#再び説明

岡田
要するにネット上からドラえもんを印刷したんですよね。ネット上のやつを印刷してそれを授業に使うところまでは何の問題もないんです。これ家でも出来ますが,同じことを塾でやったら違法です。公教育なら何の問題もない。問題はそれを生徒にあげたという問題ですね。あげたってところはまともにこんなこと議論やった人は居るのか?と思うんですが,あえて抜け道を考えると,授業を終えていらなくなったら,ゴミ箱に捨てる,それを生徒に拾わせる。そうすれば合法的になります。

堀田
もう一件くらいとれますけれど。

國香
黄色です。よろしくお願いします。2点。1つめ。子どもがベネッセのビデオをよく市販であるのを購入している。それをもってきてみんなにみせたいと思ってみんなで見ました。それは悪いのか。2つめ。市販のプリント。出来ていないときは何回もコピーしてやらせていいのか?

岡田
よく分からないですね。学校が購入したものではないものをそこで使っているわけですから。しかも全体を使ったわけですよね。要するに著作者の経済的利益を明らかに侵害する行為ですね。そういうことやっている人は多いと思うけどまずいですね。もう一個が…ええと…本来のテスト問題ってのは市販のやつですね。

國香
ひとりひとりはお金をはらって購入しているわけです。

岡田
ひとりひとりがペイしてるわけね。それは問題ないと思います。あいまいな言い方しますが,ひとりひとりの生徒が問題を購入して,その問題に対して一定の権利を獲得しているわけですから,それを何回も解くことによって本来の目的を達しているわけです。

堀田
割と学校だから多めに見てもらってるところもありますよね。

宮下
中学校の理科なんですが,NHKなんかで非常にいい実験の番組があって学校ではできないものが見られる。それをビデオに撮っておいて置いておく,ライブラリ化するのはダメなんでしょうか。

岡田
要するにライブラリ化するってのはテレビで放送されたものをテレビ局にお金を払わずに自前のテープで置くってことですよね。NHKならNHKのテープを買ってきて使うってことじゃないですよね。そこで経済的利益を侵害するのでダメですね。それは放送の固定という問題ですが,許諾の必要な問題なんですよね。

堀田
僕は最後まとめに入ろうと思うんですが,学校ってみんなでやっててなんとなくやっててっていうのがある。赤信号みんなで渡れば怖くないというのと一緒。だけど僕らはそれについてよく知っている必要があると思う。だけど学校ではそれをちゃんとやられるべきだと思う。あるいはそれを保護者に説明しているか?説明していないために問題があるようなことがある。トラブルってだいたい説明不足から起こっていると思う。そういう意味で僕らがやって説明することが大事だと思う。

一応お約束の時間になりましてこの後事務連絡です。